アウェイ感満載の現場 ディレクションをされる男性は、機械音声の制作担当者だった。 「機械の音声には適した声というのがあるんだよね、あなたの声がそうかどうかはわからないけれど、パナソニックさんがあなたがいいって言うから……」なるほど、このキャスティングに疑問をおもちなわけか……。 「よくトラックがバックするときに『バックします』という音声が流れるでしょう? あの『ク』の音を出すのが難しくて今まではどうしても『バッします』となっていたのを『バックします』と初めてはっきり音が出るように作れたのがうちの会社なんです」はっきりクリアな音声に自信をお持ちなのね。 「だからあなたの声が向いているかどうかはともかく、そういうふうに録りたいので、とりあえずやってみましょう」ものすごいアウェイ感。 私の偏見かもしれないけれど、“まったく歓迎されていない”と思った。こんな現場は初めてだ。これは大変だぞ、と大きく