1. はじめに 本研究は,発声器官 (肺,声帯) および調音器官 (舌,唇,歯,鼻腔,軟口蓋) を模擬する機構を有した発話ロボットを開発し,これを用いて人間と同様の発声動作を実現することにより,計算機シミュレーションのみでは解明困難な発声系のメカニズムをロボット工学的な視点から明らかにすることを目的としています.また,発話ロボットを用いることで人間の音声獲得過程をはじめとする様々な発話運動を再現し,実験を定量的に行うことができるようになります.本研究の応用として,音声生成に基づく新たな音声情報処理,さらには障害者の発声訓練装置や外国語学習装置を実現する上での基盤技術の確立につながると考えています.