>佐久間良治は片手にもった携帯デバイスにちらりちらりと目をやりながら御堂筋の朝を駆け抜けていった。通勤客の押し合う地下鉄から抜け出し、信号が変わるや否や、人をかき分け、南の方へ消えていった。少々急いでいるやつが居るなあと思った通行人はいたかもしれない。慌ただしい朝の光景としては彼の姿はあまりにもありふれていた。だが、佐久間が追っていたのは、この街に潜む人間の姿をしたエイリアンの一人である。 >GPS モニターの表示によると、近くにいるのはwise というエイリアンで、特に動こうともせずにじっと止まっている。表示されているのはwise 一人だけで、ほかに仲間は居ないようだったが、それは佐久間も同じ状況であり、他のハンターの応援は期待できそうに無かった。 >” 凶悪なヤツでなければいいのに...。”佐久間は心の中でそう思いながらも、通勤ラッシュの人ごみの中に分け入り、モニターで位置を確認した。