1月22日から、フランスでも映画『風立ちぬ』の公開が始まった。ジブリ作品はフランスでも人気があり、しばしばテレビで過去の作品が放映されている。宮崎駿監督の引退作となった同作は、フランスでどのように受け止められたのか。 ◆大きなパラドクスを抱えた作品 フランス公共ラジオは同作を、美しく、思わず息を飲むような感覚の作品に組み立てていると評した。主人公を取り巻く小さな思い出と戦争という大きな歴史、家族の出来事と時代の物語、鮮やかで突飛な夢のシーンと戦争の悲しい現実、これらの照応関係が完璧と高く評価している。 仏パリジャン紙は、映画の前半は地震、恐慌、戦争といった大きな痛みを、過度な詩的イメージを使い、血を描くことなく触れていると紹介した。同作は、夢のような技術進歩は軍事競争を生じさせると語り、戦闘機は好きだが戦争は嫌うという、宮崎監督にとっての大きなパラドックスとなっていると解説した。 ◆宮崎映