このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。通常は新規性の高い科学論文を解説しているが、ここでは番外編として“ちょっと昔”に発表された個性的な科学論文を取り上げる。 X: @shiropen2 英レスター大学などに所属する研究者らが2019年に発表した論文「Comparative Relevance of Physical Fitness and Adiposity on Life Expectancy」は、身体能力と肥満度が平均寿命にどのように影響するのかを詳しく調査した研究報告である。特に注目したのは、自己申告による歩行ペースと握力計で測定した握力という2つの身体能力指標である。 実験は2006~2016年にかけて行われ、47万4919人という大規模な参加者を対象とした。参加