本評論集は、恋愛ゲームも新たな文学の一種との基本的認識に基づき、作品論的見地から、恋愛ゲームのテクスト、ゲーム構造などを論じ、その価値を追究するための論考を発表してきたthen-dの取組をまとめたものです。 作品のテクストを丁寧に読むことにより、最も日陰者の扱いで語られることの多い恋愛ゲームの中に、これだけ豊かな世界が広がっていることを示し、我々の生(性にあらず)に切実な課題が含まれていることを認識し、これらの作品の価値を理解することを目的としています。 また、このような価値を見出すことができたのは、何よりも作品自体の言葉に対する信あってこそのことです。それだけの言葉が紡がれた作品に、まず感謝を述べるとともに、それらの言葉を切り刻む高慢さを自戒しつつ、本評論集を上梓したいと思います。 さらに、本評論集の企画に賛同いただいた方々より、幅広い観点からご寄稿をいただき、より重層的にT