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ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (17)

  • コロナ禍は学校でのいじめとサイバーいじめを共に中断させた - himaginary’s diary

    というNBER論文が少し前に上がっている。原題は「The COVID-19 Pandemic Disrupted Both School Bullying and Cyberbullying」で、著者はボストン大のAndrew Bacher-Hicks、Joshua Goodman、Jennifer G. Green、Melissa Holt。 以下はその要旨。 One-fifth of U.S. high school students report being bullied each year. We use internet search data for real-time tracking of bullying patterns as COVID-19 disrupted in-person schooling. We first show that, prepandemic

    コロナ禍は学校でのいじめとサイバーいじめを共に中断させた - himaginary’s diary
  • なぜ資本主義は無意味な職を創出するのか - himaginary’s diary

    David GraeberというLSEの人類学者が、9/27付の表題のEvonomics記事(原題は「Why Capitalism Creates Pointless Jobs」)で、ケインズの「わが孫たちの経済的可能性」*1の労働時間の予言が間違った理由について、ややマルクス主義的な仮説を立てている(初出はストライク誌の2013/8/17付記事「On the Phenomenon of Bullshit Jobs」;H/T Mostly Economics)。 以下はその冒頭。 In the year 1930, John Maynard Keynes predicted that technology would have advanced sufficiently by century’s end that countries like Great Britain or the Un

    なぜ資本主義は無意味な職を創出するのか - himaginary’s diary
  • 蕎麦屋の蕎麦にラーメンの汁を足してみると - himaginary’s diary

    東京財団が消費税シミュレーションツールを公開し、やや炎上気味に話題になっている。指摘されている問題点の一つは、消費税率を動かしても成長率に影響しない点である。批判者はそれは現実的ではないと言い、擁護者はそもそもこのモデルにそうした動作を求めるのは蕎麦屋でラーメンを求めるが如く筋違いだと言う。 財政政策と実体経済とのフィードバック関係に関する最近の理論としては、ブログでも何度か取り上げているデロング=サマーズの研究がある*1。東京財団のモデルはフリーソフトのRで動く上に、ソースが公開されているため、修正が可能となっている。そこで、取りあえず3/21エントリでデロング=サマーズを基に考えたような税率変更から実質成長率への影響を、quick and dirtyな形で取り込んでみた。 具体的には、prj_m_.rの「実質GDP成長率 伸長」のブロックを以下のように変更してみた(最後の2行が追加行

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  • 非政治化された数学のせいで経済学は駄目になった - himaginary’s diary

    というブログ記事をヘリオットワット大学のファイナンス数理学者ティム・ジョンソン(Tim Johnson)が自ブログ「Magic, maths and money/The relationship between science and finance」に書き、Economist's Viewでリンクされたほか、Gavin Kennedyが紹介している(原題は「How economics suffers from de-politicised mathematics」。ちなみにKennedyの紹介記事のタイトルは「Mathematical Truths Do Not Make Untrue Assumptions in Economics True」)。 そのエントリでジョンソンは、ゲーデルの不完全性定理によるヒルベルト・プログラムの挫折と、その後のニコラ・ブルバキ(実体はフランスの数学者グ

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  • himaginary’s diary

    というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Inflation and Treasury Convenience」で、著者はAnna Cieslak(デューク大)、Wenhao Li(南カリフォルニア大)、Carolin Pflueger(シカゴ大)。 以下はその要旨。 Using a century of data, we show that Treasury convenience yield and inflation comove positively during the inflationary 1970s-1980s, but negatively pre-WWII and post-2000. An inflation decomposition reveals that higher supply inflation predicts higher co

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  • 喫煙の経済的帰結 - himaginary’s diary

    というアトランタ連銀のWPをMostly Economicsが紹介している。論文の原題は「Even One Is Too Much: The Economic Consequences of Being a Smoker」で、著者はJulie L. HotchkissとM. Melinda Pitts。 以下はその要旨。 It is well known that smoking leads to lower wages. However, the mechanism of this negative relationship is not well understood. This analysis includes a decomposition of the wage gap between smokers and nonsmokers, with a variety of defi

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  • トルコ出身の経済学者が見たトルコ反政府活動 - himaginary’s diary

    トルコで続く反政府抗議活動について、Mostly Economicsがトルコ出身の3人の経済学者の意見にリンクしている。 一人はダニ・ロドリックで、「トルコでの抗議活動は力強いメッセージを送っているが、民主主義はもたらさないだろう(Turkey’s Protests Send a Strong Message, But Will Not Bring Democracy)」と題されたブログエントリで、FT寄稿記事を再掲している。同記事では、現在の抗議活動を代表する組織の不在を指摘し、結局はエルドアン政権側とギュレン・ムーブメント*1の駆け引きにクルド人勢力が絡む形で今後のトルコの政治が決定されていくのではないか、という観測を示している。 それによると、政権側とギュレン側は最近まで軍隊と世俗主義者という共通の敵がいたため手を組んでいたが、その目的は達成されたため、両者の反目が高まっている、との

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  • 生産性あれこれ - himaginary’s diary

    A Fine Theoremというブログで、シカゴ大学のChad Syversonが生産性について書いたサーベイ論文「What Determines Productivity」を紹介している(H/T EconAcademics.org)。 以下はそのブログエントリの概要。 SICの4桁分類を基に同一産業内の生産性の違いを調べたところ、上位10%と下位10%では平均して生産性に2倍の差があることが分かった(Chad Syverson (2004)[WP])。 Chang-Tai Hsieh and Peter J. Klenow (2009)[WP])は中国とインドではその差がもっと大きいことを見い出した。 この結果は生産性の異なる尺度や、差の評価に関する異なる手法に関して頑健である。 理論上は新規参入が自由に許されていれば低生産性企業は淘汰されるはずである。従って低生産性企業の存続は、新規

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  • 抱擁資本主義の包容力 - himaginary’s diary

    アセモグル、ロビンソンとThierry Verdierの論文「Can't We All Be More Like Scandinavians? Asymmetric Growth and Institutions in an Interdependent World(我々皆がスカンジナビア諸国のようになることはできないのか? 相互依存世界における非対称的な成長と制度)」をレイン・ケンウォーシーが紹介している(Economist's View経由)。 以下はケンウォーシーがまとめた同論文が提示するモデルの概要。 「熾烈(Cutthroat)」資主義は成功者に多額の報酬をもたらすため、所得格差が高まるが、起業家を数多く生み出し、イノベーションを促進する。「抱擁(Cuddly)」資主義は起業家の報酬がより少なく、リスクに対する保障はより寛大である。所得格差は拡大しないが、イノベーションもそれ

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  • 人類史上最も無謀な政治的実験 - himaginary’s diary

    インドの歴史家Ramchandra GuhaがThe New Republicの書評記事で自国のことをそう評している(Mostly Economics経由の Chris Blattman経由)。 THE REPUBLIC OF INDIA is the most reckless political experiment in human history. Never before was a single nation constructed out of so many diverse and disparate parts. Partitioned at birth on the basis of religion, India now has almost as many Muslims as the Muslim homeland of Pakistan. It has more

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  • 非正規性と規制 - himaginary’s diary

    アンドリュー・ホールデン(Andrew Haldane)金融安定化担当理事*1が経済学と正規分布について講演した(Mostly Economics経由)。 経済学で正規分布を用いることの弊害はかねてより指摘されている話であり、その点では特に新味は無いが*2、彼が最後にその問題と規制との関連について述べた部分を以下に紹介しておく。不確実性の高さによって分布の裾が正規分布より厚くなることを前提とすると、規制手法をどのように切り替えていくべきか、という話である。 ...Regulatory rules of the past sought to reflect risk. Regulatory rules of the future will need to seek to reflect uncertainty. That calls for a quite different, and so

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  • ゲーム理論は直接的には現実に応用できない - himaginary’s diary

    とイスラエルのゲーム理論の大家アリエル・ルービンシュタインがThe Browserインタビューで述べている(Mostly Economics経由)。 その内容を簡単にまとめると以下の通り。 ゲーム理論というネーミングで、フォン・ノイマンは数学だけではなく広報宣伝での天才ぶりを発揮した。そのネーミングにより、何か単純なものが経済危機や核抑止力政策といった複雑な状況に応用できるという幻想を人々に抱かせた。自分の見方は同僚より極端かもしれないが、ゲーム理論は現実に直接応用できるという主張には与しない。 自分が比喩として良く用いるのは論理学。論理学は哲学や数学の興味深い一分野ではあるが、それがより良い人生を送る助けになるという幻想を抱いている人はいないと思う。良き裁判官は論理学を習得している必要は無い。論理学はコンピュータ科学の発展に役立ったが、友人との討論や、裁判官、市民、もしくは科学者として与

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  • 我々は欲しいデータではなく手持ちのデータで戦わねばならない - himaginary’s diary

    28日エントリに、稀にしか起きないイベントについて確率を論じることの無意味さを指摘するコメントを頂いたが、そうした議論とつながっていなくもないテーマがアンドリュー・ゲルマンのブログで扱われていた。ただし書いたのはゲルマンではなく、ローレンス・バークレー国立研究所の物理学者Phillip “Phil” Price。 そこで彼は、何らかの推計において、完全にランダムなサンプルはまず手に入らないので、取りあえず入手可能なサンプル=便宜的標(convenience sample)で推計した結果を一般化するのは常識の部類に属すると思っていたが、そうではなかった、という愚痴をこぼしている。具体的には、あるテーマについてそうした便宜的標で推計を行ったところ、その結果から何らかの結論を導き出そうとする行為は完全に誤りである、とポスドクに強硬に抗議された、とのことである。 同エントリでPhilは、似た話

    我々は欲しいデータではなく手持ちのデータで戦わねばならない - himaginary’s diary
    nisemono_san
    nisemono_san 2012/05/02
    一休「統計の手法は整いました。さっそく屏風からビックデータを出してください!」みたいな小話に近い。
  • 近代経済を形作った忘れられた本 - himaginary’s diary

    ダニ・ロドリックをはじめとして製造業ならびに産業政策の重要性を重視する人は少なからずおり、ブログでも何回かそれについて取り上げてきたが(例)、歴史的観点からその重要性に焦点を当てた研究が出た。 Translating Empire: Emulation and the Origins of Political Economy 作者: Sophus A. Reinert出版社/メーカー: Harvard University Press発売日: 2011/10/17メディア: ハードカバー購入: 1人 クリック: 16回この商品を含むブログを見る ハーバード・ビジネス・スクールのサイトでこのの著者インタビューが掲載されている(Mostly Economics経由)。以下はその要旨。 A British merchant's long-forgotten work, An Essay on

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  • 経済成長率の1%上昇は暴動を5%減らす - himaginary’s diary

    という結果をインドのヒンズー教徒とムスリム教徒間の争いについて報告した論文が出ている(Mostly Economics経由)。 以下はその要旨。 Most studies of Hindu–Muslim riots in India have tended to emphasize the effects of social, cultural, or political factors on the occurrence of ethnic violence. In this article, the authors focus on the relationship between economic conditions and riots. Specifically, this article examines the effect of economic growth on the

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  • カリブレーションの海賊 - himaginary’s diary

    アンドリューゲルマンブログで、ゲルマンの共同ブロガーのBob CarpenterがあるScientific American記事に対し、極めて感情的な反発を示した(Economist's View経由)。 それによると、Jonathan Carterという地球物理学者が、単純な油井モデルでデータを生成し、そのデータからカリブレーションで元のモデルのパラメータを推定しようとしても、間違える可能性が高い、ということを示した。それをScientific American記事のライター(David H. Freedman)が経済学モデル(特にファイナンスのリスクモデル)全般の問題に結び付けたことが、Carpenterをいたく刺激したようである。かつては役に立つ記事が数多くあったScientific Americanが、今や冗談誌オニオンと同レベルに堕してしまった、とまで痛罵している。 Carpen

    カリブレーションの海賊 - himaginary’s diary
  • ISLM論争・続き - himaginary’s diary

    7日と昨日のエントリで拾いきれなかったISLM論争に関するネット上の言説を以下にまとめてみる。 デロング FOMC開催時という間歇的なタイミングでしか貨幣供給の変化が起きない現状では、M固定というLM曲線の仮定も現実味を持つ*1。 サムナー モデルは可能な限りシンプルにすべき、というデロングとクルーグマンの見解には賛成。だが、そうなると財と貨幣だけで十分で、債券イラネ。金利が話に入ってくると却って訳が分からなくなるので*2。むしろ代わりに名目GDP先物(たとえ仮想的なものとしてでも)を入れた方が話が分かりやすくなる。 デロング(上のサムナーのエントリに反応) サムナーやMatt Rognlieは2008年の金融政策が緊縮的だったと言うが、それは誤解を招く表現。ベースマネーは3倍に膨らみ、国債金利も下がっていたのだから、緩和が不十分だった、と表現すべき。ISLMの枠組みで考えればそのことが明

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