MEMSは,Si基板上に機械部品を形成し,LSIに集積することで多機能化,高付加価値化できるという魅力があります。この半面,現状では,事業化が難しい技術です。事業化を実現した一握りの企業が,大きな成功を収めています。 MEMSの事業化が難しい理由は,大きく三つにまとめることができます。(1)半導体と同様のクリーン・ルームや製造設備が必要なために,数十億円規模の初期投資が必要,(2)しかも,開発期間が10年以上と長い上,(3)ほとんどの応用製品が少量多品種である点です。 大企業でも尻込みするような条件です。欧米では,ここにビジネス・チャンスを見出し,ベンチャ企業がMEMS全体のけん引役を担ってきました。これに対して日本は,そもそも,ベンチャを起業すること自体が特異な風土です。MEMS関連のベンチャは,数えるほどしか存在しません。 その「存在すら稀な」国内MEMSベンチャの代表が,メムス・