リンは,窒素やカリウムとともに肥料の重要な成分だ。リンを豊富に含む岩石からリン酸塩の形で採取されるが,採取が容易なリン鉱石の83%はモロッコ,米国,中国,南アフリカ共和国の4つの国に集中している。人口が増加しつづけ,農業生産がさらに拡大すれば,リン資源はあと100年足らずで枯渇すると見られている。 また,リン資源の大量消費は土壌浸食の原因にもなっている。肥料を大量に投入する20世紀の近代農業によって,土壌中のリンはかつての3倍もの速さで消費されるようになった。米国のイリノイ川流域では,1kgのトウモロコシを生産するごとにおよそ1.2kgの土壌が浸食されるているという。 さらにリンが河川に流れ込むことによる環境汚染も深刻だ。リン濃度が高くなりすぎるとシアノバクテリア(藍藻)や藻類が大発生して水面をおおい,酸素不足が魚が死ぬ。人工衛星から地球を見ると,藻類の大発生によって生物が死に絶えた「デッ