お話は納豆からはじまる。日本ではこの大豆を発酵した食品は非常に好まれるが、日本人でなければ、ねばねばした糸を引き、独特の臭いが漂う納豆はとても食べ物とは思えない「嫌悪感」すら覚える何かだ。一方、同じ発酵食品、イタリア・サルディーニャ島で好まれる羊のチーズ、カース・マルツゥは独特の臭いとともに生きた蛆虫の幼虫が入っていて、食べる時には蛆虫が入ってこないように目を守る必要がある。カース・マルツゥに限らずペコリーノ・マルチェットなど虫入りのチーズは少なくない。現地の人々に好まれる虫入りチーズも、他の文化圏の人々には納豆同様に「嫌悪感」を覚えるだろう。 そんな食と臭いの嗜好に関する嫌悪感から始まり、病気、道徳、秩序、他者、さらには人種差別や外国人嫌悪まで「嫌悪感」を生む脳のメカニズムと社会心理について、嗅覚心理学者である著者が現状の研究成果を一般向けにわかりやすくまとめた一冊。 あなたはなぜ「嫌悪
人には感情がある。喜怒哀楽、さまざまな「感情」は単独で経験されるわけではなく、『ある出来事に遭遇し、その出来事を解釈して何らかの意味を付与』(P6)=「認知」した結果、感情は経験され、それは「身体」にも反応が現れ、「行動」がとられることになる。この「感情」「認知」「身体」「行動」の四つは相互に働きを強めあう相互増強作用を持っている。不安、怒り、憂鬱などの感情は「身体」や「行動」にも影響を与え、相互に強めあいながら、「うつ症状」や「うつ病」として現れることがある。 『本書では、うつという感情を発生させる心の働き(認知)を「ネガティブ・マインド」と名付け、その仕組みを認知心理学や社会心理学の知見をもとに明らかにしていく。』(「はじめに」より) ネガティブ・マインド―なぜ「うつ」になる、どう予防する (中公新書) posted with amazlet at 14.03.31 坂本 真士 中央公
記憶のメカニズムについて簡潔にまとまった脳科学者による入門本。超わかりやすく手堅い内容で120ページほどの分量と読みやすい、おすすめの一冊です。 記憶をコントロールする――分子脳科学の挑戦 (岩波科学ライブラリー) posted with amazlet at 14.04.17 井ノ口 馨 岩波書店 売り上げランキング: 46,030 Amazon.co.jpで詳細を見る タイトルの「記憶のコントロール」からもしかするとライフハック的な「記憶をコントロールする〇個の方法」みたいな何かを期待するかもしれないけれど、マウスに音を聞かせると同時に電気ショックを与えたら恐怖の記憶を覚えている、とか、側頭葉に電流を流したら被験者の記憶がよみがえったとかそういう脳科学の研究上、記憶のコントロールが可能となってきた事例のこと。 本書で紹介されているカリフォルニア大学サンディエゴ校ラリー・スクワイア教授の
ラインホルド・ニーバー(英語:Reinhold Niebuhr, 1892年6月21日 - 1971年6月1日)は、アメリカの自由主義神学者、政治や社会問題についてのコメンテーターである。1920年代に左派の牧師として登場し、1930年代には新正統主義へと立場を変え、どのように傲慢(英語:pride)の罪が悪をこの世に作りだすかを説明した。そして、キリスト教的リアリズムとして知られる神学に影響を受けた哲学的な考え方を作りだした。 ニーバーは、現実に取り組むことのない空想的な理想主義(ユートピアニズム)を非難し、1944年『光の子と闇の子』では以下のように書いている。 「正義を取り扱うことのできる人間の能力が民主主義を可能にする。しかし、不正義に陥りがちな人間の傾向が民主主義を必要とする。」 1945年以降、ニーバーのリアリズムは深化したとされ、結果としてソビエト連邦と対峙するアメリカの支援
宇宙SFを――それがハードSFであれ、スペースオペラであれ――書くに当たって最初に行うべき作業。それは宇宙船の設計でもなければ、異星人の設定でもない。地球環境とは異なる世界における人間社会の考察だ。世界構築とも言えるかも知れない。これがなければ登場人物たちは動くことができない。行動の動機も必然もわからないわけだから。 このページは日本海軍という組織を調べることで、そうした社会や組織についてのロジックを考えるための基礎資料のページです。兵器などのハードウエアよりも組織を支えるソフトウエア面に関するデータ中心なのはそのためです。 従ってあくまでもSFを書くための基礎データの一つとしてぼちぼちと整備されて行く予定です。
我々は、現代社会にあって、「本来、あってはならない存在」とされつつある自らの位置を 認識し、そこに一切の運動の原点を置かなければならないと信じ、且つまた行動する。 私たち脳性マヒ者は、この社会においては、「本来生まれるべきではない人間」「本来、 あってはならない存在」という認識を持たれているのだという自らが置かれている社会的 立場を、被差別者としての立場を認識し、健全者が行う私たちに対する差別への怒り、 恐怖、悲しみを持ち、そしてこういった社会的立場であるからこそ、この社会を変えられる のだとする強烈な意思を持つことであり、そこに一切の運動の原点を置かなければならない と信じ、かつまた行動する。 我々が、脳性マヒ者であることを自覚した時、そこに起こるのは自らを守ろうとする意志で ある。 我々は強烈な自己主張こそ、それを成し得る唯一の路であると信じ、且つまた行動する。 私
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