哲学者たちは、数学について少しでも考えたことのある他の人々と同じように、「数学」を当たり前のものとして受け取る傾向がある。われわれは、ある問題、予想、事実、証明のアイディア、一片の推論、定義といったもの、あるいはある専門分野そのものをまったく無造作に数学的なものとして認識するが、それがなぜなのかを反省することはめったにない。[...]だが、現実の数学者たちが取り組んできたこれほど多くの異なる話題が即座に「数学」として認識されるのはなぜなのかという素朴な問いを、われわれは遠ざけてきたのではないか。(p.52) 分量的にも内容的にもヘビーな一冊。ハッキングがそのキャリアを概括するように数学の哲学について書いている。アプローチは著者独特のもの。普通の分析哲学的な議論を期待して読むと、とりとめもない議論をやっているように見える。著者が論じるのは、ある論点が成立している、あるいは成立してきた状況であ