カール・シュミット『憲法理論』に登場するinstitutionelle Garantieという概念が現代の日本の法学に至るまで、いかに理解されてきたか、そしてその理解のどこに問題があるのかを示す研究。シュミットのテクストの正確な解釈を第一義的目的とするものではないとしつつも、シュミットが属するドイツ法学の伝統――サヴィニー以来の概念法学――を丹念に掘り起こし、その中で形成されたRechtsinstitut概念に着目することによって、シュミットがいかなる概念連関のもとで思考していたのかが示されている。論点は多岐にわたるが、結論だけ取り出すならば、シュミットがinstitutionelle Garantieの「真正の例」として職業官僚制の保護を挙げているのは、市民的法治国・普遍妥当的な自由の体系を選択したワイマール憲法に、特権の体系を構成しうる条文があったことの結果である。すなわち、自由の体系