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ブックマーク / ima-inat.hatenadiary.org (5)

  • '12読書日記10冊目 『カントと物自体』アディッケス - Hello, How Low?

    カントと物自体 (叢書・ウニベルシタス (58)) 作者: エーリッヒ・アディッケス,赤松常弘出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 1998/07/01メディア: 単行この商品を含むブログを見る267p 総計2753p カントの「物自体」概念のポジション。アカデミー版全集・遺稿集の編者である筆者が、それを探っていく。『純粋理性批判』には入門したてという僕には論評するのが難しいが、書の立場はあまり好きではない。アディッケスは、『純粋理性批判』の中にカントの「体験」――物自体の存在の体験――を見出そうとし、さらにカントが批判哲学者であると同時に独自の形而上学的見解を持っていたとして彼の心理学的な論評さえ行なっている。カントは折に触れてドイツの論壇哲学への攻撃のために、物自体は不可知のものであり実在するかどうかの証明は不可能であるとして、物自体を主観概念の中に収めがちであった。が、アデ

    '12読書日記10冊目 『カントと物自体』アディッケス - Hello, How Low?
    nizimeta
    nizimeta 2017/04/23
    “カントは確実に物自体の存在を前提としていてそれに対する懐疑さえ持たなかった。その根拠となるのは…幾つかの引用とカントが物自体を体験したとする心理的論評というかなり苦しいものとなっている”
  • '15読書日記40冊目 『代議制民主主義』待鳥聡史 - Hello, How Low?

    代議制民主主義 - 「民意」と「政治家」を問い直す (中公新書) 作者: 待鳥聡史出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/11/21メディア: 新書この商品を含むブログ (20件) を見る代議制と一口に言っても、様々な形態があり、どのような選挙制度(比例制・小選挙区・大選挙区等、投票制度)と執政制度(議院内閣制、大統領制、半大統領制)を組み合わせるかで、権力分立的-自由主義的な要素(多数者の専制への防波堤)を強めるのか、民主主義的要素を強めるのかが変わってくる。権力分立的-自由主義的な要素を強めるといっても、他方でそれはフリーハンドを与えられた(自由委任された)政治家のフリーハンドが腐敗してしまったりテクノクラシーに陥ることもあるし、「決められない政治」になってしまうこともある。また、民主主義的要素を強めることが多数者の専制やポピュリズム的独裁へと繋がることもある。選挙制度や執

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  • '14読書日記53冊目 『代表制という思想』早川誠 - Hello, How Low?

    代表制という思想 (選書“風のビブリオ”) 作者: 早川誠出版社/メーカー: 風行社発売日: 2014/07/01メディア: 単行この商品を含むブログ (7件) を見る代表制民主主義は、日では(そして世界でも)近年もっぱら評判が良くない。議会政治の腐敗、機能停止、決定力の欠如。様々な問題が一般に指摘されているが、核になるのはそれがもはや民意を正しく反映していない、というものである。そもそもが教科書的理解によれば、代表制というのは直接民主制が規模的に不可能であるために次善の策として選択されたものだといわれることが多い。昨今の政治理論においても、代表制の機能停止を補い、民意を正しく反映させるために一方で首相公選制のように直接人民が一国のトップを選択するようにする方法が、他方では熟議民主主義のように市民が直接議論をし、機能停止している代表制議会にその議論の結果を正しき民意として伝えるという方

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  • 中道体制の崩壊(シャンタル・ムフのインタビュー) - Hello, How Low?

    オーストリアの新聞でのインタビュー(http://derstandard.at/2000015524661/Das-System-der-Mitte-kollabiert)。 政治学者シャンタル・ムフ「右派ポピュリストが成功したのは、保守政治と社会民主主義政治が融合したからだ」 インタビュアー(イ):中道右派政党と中道左派政党の区別がなくなることを警告されていますね。 ムフ:私はそれをポスト政治的状況と呼んでいます。今日のヨーロッパ社会で優勢なものです。 イ:いつからそれは優勢になったのですか。 ムフ:この傾向は、イギリスでニュー・レイバーによって始められました。理論は社会学者のアンソニー・ギデンズから出てきました。そしてトニー・ブレアがそれを作り替えたのです。考え方は、共産主義の崩壊のあと、対抗勢力はもはやいなくなり、リベラルな資主義のオルタナティブもなくなった、というものです。 イ:

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  • '12読書日記57冊目 『カント 第三の思考―法廷モデルと無限判断』石川文康 - Hello, How Low?

    カント 第三の思考―法廷モデルと無限判断 作者: 石川文康出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 1996/11メディア: 単行この商品を含むブログを見る314p 総計15678p 書は最近読んだの中でももっともスリリングだったものの一つ。テーマは、カントの判断表の中の質の項目に現れる「無限判断」である。カントによれば、判断の形式は量・質・関係・様相の4項目に分けることができ、さらにそれぞれが3つに分類されうる。「Aは非Bである」という形式を持つ無限判断は、この質の項目の中の一つである。ところが、『純粋理性批判』を読んだことのある人ならわかるように、カントのこの部分の説明は極めてわかりにくい。質の項目の残り2つは、肯定判断「AはBである」、否定判断「AはBでない」なのだが、この後者の否定判断と無限判断がどう違うのか、カントの説明では全くわからないのだ。曰く、無限判断は実は「Aは

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