【ジャカルタ=梁田真樹子】オーストラリア政府が、輸出した肉牛が「虐待」を受けているとして、インドネシアへの肉牛輸出を停止し外交問題に発展している。 発端は5月下旬に豪ABCテレビが放送した、インドネシアの食肉加工場のドキュメンタリー番組。牛のノドを刃物で切る場面などが放映され、「動物虐待」との非難が高まった。このため豪州政府は今月8日、インドネシアへの肉牛輸出の6か月停止を発表した。 インドネシア農業省は「差別的扱いの撤回を求め世界貿易機関(WTO)に申し立てる」と反発した。 インドネシアはイスラム教徒が国民の9割を占め、食肉加工の方法には「宗教戒律にのっとっておりやむを得ない」(地元紙記者)という事情がある。 突然の輸出停止には豪州の食肉業者からも反発が出ている。豪州の肉牛輸出の6割はインドネシア向けで年間の輸出総額は約3億3000万豪ドル(約280億7000万円)に上る。