質問に対する返答のテンポがあまりにもリズミカルで軽快だから、対話の劣勢を悟って思わずニヤつき、逃げの質問で踊り場を作ろうとしてしまった。 「ところで、頭の回転、速くない?」 実家のソファにゆったりと座る中村敬斗は、「いやいやいや」と照れくさそうに髪をかき上げ、それからしっかりと笑った。 「それは真逆っす。頭のキレはぜんぜんです。全くありません。だって俺、人から見ると天然らしくて。自覚はないんですけどね。海外の人とコミュニケーションを取るのは得意だし、どこに行ってもそういう感じでチームメートと仲良くなっているので、そのままでいいかなって」 自分がブレイクしているという感覚は全然ない。 今、サッカー日本代表で“誰よりも点を取りそうな男”は、ピッチの内外で「面白いヤツ」と評判である。 ピッチ内では主に2列目の左サイドにポジションを取る。世界的なトレンドに倣って日本代表においても多士済々の激戦区だ