【ニューヨーク=松浦肇】米ウォール街では格下げを受けた米国債にマネーが集まり、長期金利が歴史的水準に低下する異変が起きている。背景には欧州発の金融不安と米景気の二番底リスクが重なり、デフレ懸念が強まった事情がある。これにより商品、株式が売られ、欧州各国の国債も格下げリスクにさらされており、「消去法」で米国債が選ばれているのだ。 先週19日、ニューヨークに隣接するニュージャージー州で講演したニューヨーク連銀のダドリー総裁は、聴衆の地元ビジネスマンから、「欧州銀行の経営は大丈夫か」との質問を受けた。英HSBCやスイスのUBSなどは米国内で個人向けビジネスも展開しており、米国では欧州銀の信用不安が米景気に飛び火するリスクが恐れられている。 実際、ウォール街でも欧州銀株は全滅に近い。年初来高値からの下落幅は、仏ソシエテ・ジェネラルが60%、独ドイツ銀で42%、スペインのサンタンデルでも31%。イタ