ウクライナ戦争で地上戦のカギを握る主軸兵器としてロシア・ウクライナ双方がMBTを繰り出した結果、いまや台数が不足気味の状態にある。だが、MBTは「地上戦の花形」と言われながらも、冷戦終結後は欧米を中心に無用論が大勢を占め、数年前まではリストラ対象の筆頭で、「絶滅危惧種」と言っても過言ではない状態にあったのだ。 少なくとも1989年の冷戦終結まで東西両陣営は欧州大陸を舞台に強大な軍事力で対峙し、その主役がMBTだった。 英国のシンクタンク国際戦略研究所(IISS)が公表している『ミリタリー・バランス1990年版』で1989年のMBT数を調べてみると、NATOは総計約3万4000台。主要国別では、アメリカの約1万5400台が圧倒的で、西ドイツ約5000台、フランス約1300台、イギリス約1300台、イタリア約1500台、ギリシャ約2000台、オランダ約900台、トルコ約3700台など、軒並み1