歩きスマホをする人々がいる。社会問題にもなっているようだ。しかし私は怒りよりもおどろきのほうが大きい。何におどろくかといえば、世界への圧倒的信頼感におどろくのである。私はあそこまで周囲のすべてを信頼できない。 とくにすごいのは、スマホの画面を凝視しながら歩きつつ、さらにヘッドホンで耳まで覆っている人間で、たまにそんな人間がこちらにずんずん直進してくるんだが、ありゃ何だ? パラレルワールドに迷いこんだ? 別の世界線のできごと? 人間の目や耳は、周囲を警戒するために付いている。それを遮断したまま大量の人間がいる空間を歩きまわるのは、肝が座っている。街中には色々と変な人間もいると思うんだが、そんなに周囲を信頼できるのか。歩きスマホの人間は、街と母親の区別が付いていないのか。おまえの住所は胎内か。 漫画『スラムダンク』の一場面を思い出した。山王戦終盤、三井は体力の限界をむかえ、それでも必死でプレイ