玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ ※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。 【原文】 放ちたらん時、明[開]けさせ給へ」 と申せバ、打ち泣き給ひて、 「何時《いつ》迄も侍らハんとこそ思ふに、かく末の世の事迄の給[宣]へバ、心許《こゝろもと》なく、いと憂《う》き心こそすれ」 との給[宣]ひながら、此の箱を受け取り給ひて、互いに涙に咽《むせ》び給ふ。 月冴へも参り、人/\も忙ハしげに成れバ、紛らかしつゝ、立ち去りぬ。 姫君もさらぬ様《よう》にて此の箱を引き隠し給ひけり。 【予習の答え】 姫君さらぬようにて此箱をひきかく し給ひけり 【さっくり現代語訳】 この箱の内蓋(うちぶた)は、姫君がお年を召して世の中をお捨てになろうという時に、お開けください」 と玉水が申し上げると、姫君はお泣きになって、 「これからもいつまでもずっと一