記事:晶文社 『すべて名もなき未来』(晶文社) 書籍情報はこちら 批評家は批評をすることしかできない 「批評家は何の役に立つのか?」。先日、哲学研究者の福尾匠さんとトークイベントをしたあと、福尾さんと残っていたお客さんたちと雑談していた際にこういう話になった。 たとえば、小さな社会について考えてみる。友人たちが集まり、一つの社会を構成するとき、そこで自分が何ができるのかを考える。車を運転できる者がいる。魚をとれる者がいる。料理をつくることのできる者がいる。船を操縦できる者や、家を建てることのできる者がいる。そのとき、自分には何ができるのか? 運転者は車を運転し、釣り人は魚を釣り、料理人は料理をつくる。僕たちは遠い場所へと移動することができ、海や川へ行って魚料理を食べることができる。そのとき批評家には何ができるのか? 批評家は批評をする。批評家