戸川純、椎名林檎、大森靖子……「不思議ちゃんの女性歌手」という音楽文化は日本において長らく育ってきた。 アングラめいた表現だが、シーンはメジャー、という不思議な広がりを見せているのがおもしろい。カルト的に売れるんだから、いくらヤバい人でもメジャーでセールスをかける。 80年代にビョーキ、90年代以降から不思議ちゃんと呼ばれるようになるこの系譜は、とにかく周りを寄せ付けないほどキャラクターが強い。なので「熱狂的・盲目的信者」を生み出しやすく、それぞれがビッグ・バン的にカルチャーを作った。 周りに同調しやすい日本人の文化のなかで、他人の目を気にしない。彼女らは独立した個性を持ち、ある意味で凛としていたわけだ。 今回はそんな「不思議ちゃんの女性歌手」の歴史を振り返る。「超有名なのにちょっとディープでアングラ」というおもしろカルチャーをみんなで見ていこう。 同調から個性に移り変わる1980年代 不