1970年代末期、パンクの影響を受け、電子的な音響操作によって生成された雑音を主軸に構築されたポップ・ミュージック。工業社会へのシニカルな批判的視点を持ち、テクノロジカルな手段によってノイジーなサウンドを生み出し、死や戦争、ファシズムなどのおぞましいイメージと結合させることで、科学技術の進歩が非人間的な環境を生み出してしまう矛盾に鋭く目を向けた。 1974年結成のキャバレー・ボルテールと、76年結成のスロッビング・グリッスルの二つのグループがインダストリアル・ミュージックの始祖的グループとされるが、前者はチューリヒ・ダダの本拠地をそのグループ名に選び、後者はモダン・アートやパフォーマンスを行っていた集団が音楽活動に移行したものであって、インダストリアル・ミュージックが商業主義的な文脈というよりも、現代文化の理知的・前衛的な背景から生じたことは留意しておくべきである。初期のインダストリアル・