安倍晋三元首相の死去は、隣国・韓国でもたいへんな驚きをもって受け止められている。ただ、その受け止め方はとても複雑だ。 社説でこのニュースを扱う韓国紙は少なくなかったが、「国際社会に衝撃」(韓国日報)、「どんな理由であれテロは許されない」(ソウル新聞)、「民主主義を脅かす暴力はいけない」(京郷新聞)と述べながらも、「日本右翼のシンボル」「史上最長の政権を担った強力なリーダー」とし、慰安婦や元徴用工問題といった歴史問題で韓国と対立し、2019年に日本政府が実施した韓国向け輸出規制強化を行った人物として言及している。銃撃による死去という事実と、これまでの安倍氏の韓国外交とのギャップにとまどいを隠せずにいるようだ。 実際に韓国人からすれば、安倍氏に対しては複雑な気持ちにならざるをえないのだろう。韓国では、とくに「進歩」と呼ばれる革新・左派勢力からすれば、安倍氏は「過去の植民地支配から生じた歴史問題