今年5月の朝日新聞連載「語る 人生の贈りもの」の最終回。樹木希林さんはこう締めくくった。取材の初日に2枚の検査写真を見せられた。2年前とは比べものにならないくらい、がんが全身に広がっていた。 「この写真を見て、あなたの記事がどう変わってくるか」と問われ、身が引き締まる思いになった。樹木さんは歯に衣(きぬ)着せない発言で知られる。「舌禍事件を随分起こしてきた」と笑っていたが、それは仕事に対し、自分にも他人にも厳しく臨んでいたからだろう。 自分の出演作に関するインタビューでも、発言は容赦がなかった。記者がある場面を褒めると「あの演出は全然駄目よ」とよく叱られた。そして、なぜ駄目なのかを丁寧に説明してくれた。自身の演技も自然体の天才肌のように見えて、実はすべてが論理的に考え抜かれたものだった。 樹木さんは自分の過去の業績を語ることを好まず、自伝などは残していない。だから、本紙の連載はきっと最期を
![「最期」覚悟し受けた取材 希林さんは写真2枚で問うた:朝日新聞デジタル](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/d8edc3766c4b4641a6e25ca7b1a496649181ccb6/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimgopt.asahi.com%2Fogp%2FAS20180916003155_comm.jpg)