世の中には「自分が慣れ親しんでいるの社会制度」が社会の正しい姿だと思い込んでしまう人がたくさんいます。たとえば、男性が働き女性が家を守るという家庭の形はそれほど歴史の古いものではありません。これは産業革命以降にヨーロッパの都市生活者がつくった家庭の形でした。日本では明治以降、それまでの儒教的な男尊女卑とヨーロッパの家庭の形を組み合わせて男親を家長とする家族制度が生まれました。それ以前の日本の農村では男性も女性も一緒に働き一緒に育児をしていました。もっと前の室町時代まで遡れば西日本では貴族も農民も通い婚が一般的でした。 男性が働き女性が家を守るという家庭の形は古来から不変の制度ではありませんし、伝統的と呼ぶほどの歴史もありません。しかし変化を怖れる人達は、たいした歴史すら持たない過去の遺物にすがろうとします。そこには実は「自分は若い頃からそうやって生活してきたから」といった程度の理由しかあり