1.制度の趣旨と概要 消費者被害においては、同種被害が発生しながら、消費者と事業者との構造的格差等により、個々の消費者が自ら訴えを起こして被害回復を図ることが困難であり、こうした特性を踏まえた消費者被害の回復のための制度の必要性が指摘されてきました。 そのような流れを受けて、平成25年12月に「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」(以下「消費者裁判手続特例法」という)が成立し、平成28年10月1日から施行されています。 消費者裁判手続特例法は、消費者被害の特性を踏まえ、手続きを大きく2段階に分けています。 つまり、まず1段階目の手続きとして、内閣総理大臣の認定を受けた「特定適格消費者団体」が消費者被害を起こしている事業者に対して「共通義務」があることについての訴えを提起します(共通義務確認訴訟。) この共通義務とは、例えばある事業者が消費者契約法9条1