コーネリアスの “Audio Architecture”という曲には「Quiet!」という合図とともに静寂が訪れる瞬間がある。10秒ほどのその沈黙は自宅のステレオでかけ流していればさほど長くは感じない程度なのだが、ライヴで披露される際に目の前で音が止まった演奏をじっと眺めているとものすごく長く感じる。昨年夏のオリンピック開会式音楽担当の辞任騒動を受けてすべての活動を自粛していた小山田圭吾が、1年越しのフジ・ロック・フェスティバルのステージで復帰を果たしたことについて、その1年を早いと感じる人もいれば、長いと感じる人もいるだろう。少なくともこの日に苗場のホワイト・ステージ前に集まった人びとや、配信の開始を心待ちにしていた人びとにとっては、とてつもなく長く、厳しい1年だったはずだ。 “Mic Check”からライヴははじまった。「あ、あ、あ、マイク・チェック、マイク・チェック、聞こえますか?