HEATWAVE 山口洋がこれまでに出逢ったミュージシャン、ロックンロールの魔法について書き下ろす新連載! 1990年代の初頭。金と欲に踊らされた、バブルな時代の末期。バンドブームのどさくさに紛れて、僕らもアルバム・デビューを果たしたものの、この国に蔓延していた奇妙な空気にどうにもなじめず、時間とお金をやりくりして、僕はひとりで世界を流浪していた。 旅の目的のひとつは、ロックンロールの源流をたどること。どこからあの命の水は流れだしてきたのか?それを知ることができれば、僕は普遍と不変のスピリットを手にいれ、時代を切り裂くことができると思っていた。そうやって、僕はNYを経由し、いくつもの出会いや失敗を繰り返しながら、源流のひとつ、アイルランドにたどり着いた。 はたして、僕はそこでアイリッシュ・ソウルの最高峰、ヴァン・モリソンを生で体験することになるのだれど、そこに彼の盟友であるシンガー、オルガ