3月31日、国際連合食糧農業機関(FAO)の屈(クー)事務局長、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長、世界貿易機関(WTO)のアゼベド事務局長は連名で共同声明を出し、「食料品の入手可能性への懸念から輸出国による輸出制限の連鎖が起きて国際市場で食料品不足が起きかねない」と警告した(注1)。 この共同声明を受けて、私は「日本は大丈夫なのですか」という取材を受けた。食料自給率40%を切る輸入国日本への影響を心配する人たちがいる。 まず、この問題について検討する前提として、どのような場合に、どのような国によって、輸出制限が行われるのだろうか? 最近の事例を基に説明しよう。 輸出制限に対する国際的な批判と規律 この共同声明のように、輸出制限に対しては、国際的な批判がある。食料が不足すれば価格が高騰する。途上国の貧しい人たちが食料を買えなくなっている価格高騰時に、さらに食料の輸出を制限して、供給量