中国湖北省宜昌の三峡ダムで今年も「決壊」に対する懸念が持ち上がっている。「耐久性はほぼ臨界点」「決壊なら上海が水没」という不安が、主に中国国外で示されている。中国側は「何千年も崩壊しない」と一蹴し、決壊説を唱える外部専門家を「詐欺師」呼ばわりするなど、神経を尖らせている。新型コロナウイルス対策などで「透明性の欠如」を指摘される中国だけに、「三峡ダムは安全」とする主張をどこまで受け入れるべきか、戸惑いの声が聞こえそうだ。 ◇「崩壊の危険性」今年も昨年も 中国では長江流域など広い範囲で大雨が続き、江西省や湖北省などの各地で川の氾濫や土砂崩れなどの深刻な被害が相次いでいる。 三峡ダムの流入量も急増し、6月29日の段階で洪水警戒水位(147メートル)を超えたため、放水が開始された。7月12日には151.48メートルに達したものの、当局は長江流域での被害の深刻化を考慮して、放水を抑制し貯水を増やすこ