殺人罪などに問われた元派遣社員、加藤智大(ともひろ)被告(27)が27日、東京地裁で始まった被告人質問で「事件を起こすべきではなかった。後悔している」と述べた。事件を起こした背景に「母親からの育てられ方の影響があった」とし、幼少期から受け続けた厳しいしつけの数々を列挙し、「屈辱的に感じることもあった」と証言した。 午前10時前、加藤被告は黒のスーツに白いワイシャツ姿で東京地裁最大の104号法廷に入った。これまでの公判と同様、被告席に座る前で立ち止まり、遺族や被害者が座る傍聴席に向かって、深々と頭を下げた。 加藤被告は淡々とした口調で「私が話をしたことで被害が回復することはないとは分かっているが、今、自分がやるべき事を最低限やるべきだと考えた」と心境を語った。事件を起こした一番の原因は何か、という問いには、「言いたいこと、伝えたいことを言葉ではなく、行動で示そうとする考え方です」と述べた。