ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (62)

  • 痛いという感覚がわからない「無痛症」とは

    身体的な痛みをまったく感じない無痛症の人はごくまれにいる。研究者たちはこうしたケースを手がかりに、痛みの遺伝的なメカニズムを探ろうとしている。

    痛いという感覚がわからない「無痛症」とは
  • 5700年前の北欧の女性、ガムに残るDNAを完全解読

    5700年前にバルト海の島に住んでいた「ロラ」の想像図。(IMAGE BY TOM BJÖRKLUND) ロラと名付けられたその女性は、紀元前3700年にバルト海の島に住んでいた。乳糖不耐症があり、歯周病も患っていたかもしれない。カモ肉とハシバミの実をべ、古代ヨーロッパの多くの狩猟採集民と同様に、青い瞳に浅黒い肌、黒髪を持っていた。 一方、ロラは何年生きたのか、いつ、どこで死んだのかはわからない。というのも、彼女に関する情報は全て、およそ5700年前に彼女がチューインガムのように噛んで捨てた小さな樹脂の塊に残るDNAが教えてくれたものだからだ。 これは、人間の身体とは関係のない物質を通して、はるか古代に生きていた人のゲノムの完全な解読に初めて成功した例だ。この研究は、12月17日付けで学術誌「Nature Communications」に発表された。 明らかになったのはロラの遺伝情報だけ

    5700年前の北欧の女性、ガムに残るDNAを完全解読
  • 衛星タイタンに存在?まったく新しい「有機鉱物」

    NASAの土星探査機カッシーニから送られてきた近赤外波長のカラーモザイク写真。土星の衛星タイタンの北極海に太陽光が反射する。(IMAGE BY NASA/JPL-CALTECH/UNIVERSITY OF ARIZONA/UNIVERSITY OF IDAHO) モーガン・ケーブル氏は、実験室にミニチュアサイズの地球外の環境を作っている。そのなかで、ショットグラス大の湖をかき混ぜたり、穏やかな雨を降らせたりして、土星の衛星タイタンの地表を再現するためだ。はるか遠いタイタンの気温はおよそマイナス180℃。水の氷でできた地表には液体のメタンやエタンの川が流れ、谷を作りだしている。(参考記事:「タイタンの赤道付近にメタンの湖」) 「ある意味、私たちはこの実験室でタイタンに触れることができます。たとえ何億キロと離れていてもね」とNASAジェット推進研究所(JPL)宇宙生物学・地球外海洋グループの科

    衛星タイタンに存在?まったく新しい「有機鉱物」
  • 5Gで天気予報の精度が「40年前」に、科学者が警告

    人工衛星に搭載された機器が計測した大気中の水蒸気量は、精密で正確な天気予報に欠かせない情報だ。水蒸気の量は、マイクロ波や赤外線など異なる「帯域」で、それぞれ異なる機器によって計測される。この画像では、人工衛星「GOES-16」に搭載された機器が計測した、水蒸気から放射される赤外線の信号が示されている。(PHOTOGRAPH COURTESY NOAA, NESDIS CENTER) 2012年、巨大なハリケーン「サンディ」が米国の東海岸に上陸した。ニューヨーク地域に襲いかかったサンディは、数日間にわたり激しい雨を降らせ、大規模な浸水を引き起こし、インフラに大きな打撃を与えた。犠牲者の数は100人を超えた。 ハリケーンの進路などの詳細で正確な気象予測がなければ、こうした被害がさらに拡大していたことは間違いない。気象予測のおかげで、科学者らはハリケーンが上陸する前に余裕を持って、米連邦緊急事態

    5Gで天気予報の精度が「40年前」に、科学者が警告
  • 200年前の歴史的人物をDNAで診断、初の試み

    フランス革命期の革命家ジャン=ポール・マラーが入浴中にシャルロット・コルデーに暗殺される場面を描いた19世紀の版画。(PHOTOGRAPH BY ULLSTEIN PICTURE, GETTY) ユリウス・カエサルはてんかんだった! いやいや、軽い脳梗塞だ! 歴史上の人物の病名や死因が、現代の枠組みを用いて診断されることがある。「遡及的診断」と呼ばれ、医学会でも定番の推理ゲームのようなものだ。その内容は、もっともらしいものから、ばかげたものまでさまざま。だがこれまで、歴史上の人物人のDNAを使って、こうした診断が試みられたことはなかった。 このほど、200年前の殺害現場に残されたDNAを分析し、ある歴史上の人物を苦しめていた病気の正体が判明したという研究結果が発表された。その人物とは、フランス革命期の最重要人物の一人、ジャン=ポール・マラー(1743〜1793)だ。「暗殺の天使」と呼ばれ

    200年前の歴史的人物をDNAで診断、初の試み
  • 7000年前のスウェーデンの女性を復元、特別な存在

    現在のスウェーデン南部で7000年前に亡くなった女性。遺骨とDNAと埋葬時の様子を基に復元された。(PHOTOGRAPH BY GERT GERMERAAD, TRELLEBORGS MUSEUM) 考古学者らは、その女性に「22」という番号を振った。実物大の像を復元した彫刻家は「シャーマン」と呼ぶ。それを展示する博物館のスタッフにとっては「座る女」だ(少なくとも今のところは。他にいい呼び名があれば受け付けるそうだ)。 彼女の名を最後に口にしたのは、およそ7000年前、現在のスウェーデン南部に広がる豊かな湿地帯や森に住んでいた誰かに違いない。その名前は歴史のかなたに失われてしまったが、考古学者であり彫刻家でもあるオスカー・ニルソン氏らのチームによって女性が復元され、この11月17日からスウェーデンのトレレボリ博物館で公開される。 女性は動物の角の上にあぐらをかき、頭を上にして埋葬されてい

    7000年前のスウェーデンの女性を復元、特別な存在
  • 第4回 なんと「人工宇宙」とアルマ望遠鏡を実験室に再現!

    天文学者である坂井さんは、意外なことに、化学の基礎分野である分子分光学の実験室を持っており、日々、運用している。 天文学的な研究のために、化学物質が出すスペクトル線のデータベースをみずから作るのが目的だ。大きな目標のためにいったん膝を折って力をためるような地味な営みだとぼくには思える。 坂井さんに案内してもらって、その実験の現場を見せてもらった。 実際に行われていることは、やはりひたすら地味であることには違いないのだが、坂井さんの解説を聞いていると、ちょっとすごいことに気づいてしまった。 坂井さんは、実験室にALMAを持っている。 世界最大で最強の電波望遠鏡(干渉計)ALMAのミニ版がここにあって、実験室に再現された人工のミニ宇宙を日々観測している。つまり、これは実験室的な電波天文観測だ。 ぼくはそのことに気づいた時、大いに感じるものがあったので、今回はそこから話を始めよう。単に感激するだ

    第4回 なんと「人工宇宙」とアルマ望遠鏡を実験室に再現!
  • ついに村ごと移転開始、永久凍土融解で、アラスカ

    アラスカ州ニュートックは先住民族ユピックの村。ニングリック川とニュートック川がすぐそばを流れる。気温上昇、永久凍土の融解、浸が原因で、村に水が入り込み、面積が急激に縮小している。アラスカ州では初めて、気候変動によるコミュニティーの移転を開始。今後、多くの村が追随することになると予想される。(PHOTOGRAPH BY KATIE ORLINSKY, NATIONAL GEOGRAPHIC) 彼らは衣服を箱に詰め、ボートに乗り込み、隣人たちに別れを告げる。ただし、別れはつかの間だ。 2019年10月、米アラスカ州ニュートック村の住民がついに、新しい町への移住を開始した。北米ではほとんど例がない気候変動による移住である。 ニュートックは、ベーリング海からほど近いニングリック川沿いにある人口約380人の村。ここに暮らす先住民族ユピックたちは、20年以上前から移住の準備を進めてきた。永久凍土の融

    ついに村ごと移転開始、永久凍土融解で、アラスカ
  • クルド人はどんな人たち? 4カ国に暮らす理由

    イラク北東部のキルクークの近くでバレーボールをする、クルド人軍事組織「ペシュメルガ」の兵士。クルド軍は、2014年にイラクの都市の占領を開始した過激派組織IS(イスラム国)と戦った。(PHOTOGRAPH BY YURI KOZYREV, NAT GEO IMAGE COLLECTION) クルディスタンがどこかと聞かれても、地図上で場所を示せない人がほとんどだろう。クルディスタンは独立した国家ではないからだ。だが、約3千万人の民族、クルド人にとって、クルディスタンはリアルな存在だ。 クルディスタンは、トルコ、イラン、イラク、シリアの4カ国にまたがる地域。現在、世界でもとりわけ政情不安な地域で、ここで暮らすクルド人は「国を持たない世界最大の民族」と言える。(参考記事:「イラクのクルド人、独立はあるのか」) 中東に住んでいたことを除けば、クルド人がどんなルーツをもつのかは、学者やクルド系の人

    クルド人はどんな人たち? 4カ国に暮らす理由
  • 地震計で気候変動の「音」を読み解く、研究

    フランスとスペインの国境にそびえるピレネー山脈に設置された地震計では、凍りついた川が解けたり再凍結したりする音を計測している。地震計を用いて自然の声に耳を傾ければ、気候変動をより詳細に監視できる。(PHOTOGRAPH BY MIKEL BILBAO, VW PICS/UNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES)) フランスとスペインの国境にそびえるピレネー山脈の地下に、迷宮のような実験室がある。そこでは、暗黒物質(ダークマター)を検出する実験が行われているほか、かつての鉄道のトンネル内で、地震計が周囲の音を敏感に聞きとっている。 数年前、スペイン、地球科学研究所ハウメ・アルメラの研究チームが、地震計の品質管理の作業中に不審な信号を発見した。ただし、その信号は誰にも識別できなかった。 同研究所の地震学者ジョルディ・ディアス氏らはすぐに、その不定期に鳴る音が、トン

    地震計で気候変動の「音」を読み解く、研究
  • 嵐が引き起こす地震「ストームクエイク」を発見

    ストームクエイクを生み出すには、条件に合う海底地形がある場所を巨大な嵐が襲う必要がある。例えば、この2009年の衛星画像に映るハリケーン「ビル」は、ニューイングランド沖のジョージズ・バンクを通過する際にストームクエイクを引き起こした。(PHOTOGRAPH BY NOAA VIA GETTY IMAGES) 未知の地震現象「ストームクエイク(stormquake)」が発見された。直訳すれば「嵐地震」だ。10月14日付けで地球物理学の専門誌「Geophysical Research Letters」に掲載された論文によると、巨大な嵐の猛烈なエネルギーから地震波のパルスが生じ、それが数千kmにわたって大陸中に伝わる可能性があるという。(参考記事:「世界を20分超駆け巡った謎の地震、驚きの調査報告」) 「彼らの発見には驚きました」と、今回の研究に関わっていない米コロンビア大学の地震学者ヨーラン・

    嵐が引き起こす地震「ストームクエイク」を発見
  • ありえないダイヤを発見、まるでマトリョーシカ

    これまでに例のない新発見のダイヤモンド。小さなダイヤが、大きなダイヤの中で自由にカタカタと動いている。これほど珍しい構造がどうしてできたのか、科学者たちも首をかしげている。(PHOTOGRAPH COURTESY OF ALROSA) 極東ロシアのサハ共和国。掘り出されたばかりの宝石を選別中、採掘企業アルロサの専門家たちは、それまで見たことのないものに出くわした。ダイヤモンドの中に、小さなダイヤモンドが閉じ込められていたのだ。ロシアの入れ子人形にちなんで、マトリョーシカ・ダイヤモンドと呼ばれている。 アルロサ社は10月4日、この発見について公表した。それによると、全体の重さはわずか0.124グラムで、外側のダイヤの幅は米粒の長さとほぼ同じ5ミリ弱だという。 ダイヤモンドはしばしば、珍しい鉱物やその元になった流動体の痕跡を封じ込めるタイムカプセルのような役割を果たす。しかし、ちっぽけなダイヤ

    ありえないダイヤを発見、まるでマトリョーシカ
  • 史上最強の企業、英国東インド会社の恐るべき歴史

    スペイン無敵艦隊を打ち破ったことを見届けたエリザベス1世は、英国商人らに国王の代理として東インドで交易を行うことを許可する勅許を与えた。(Photograph by Leemage, Corbis/Getty) いま「巨大企業」と聞いて思い浮かべるのはグーグルやアップルだろうか。だが、過去も含めれば、いずれも英国東インド会社の足元にも及ばない。かつてインド亜大陸のほぼ全域を支配した、強大な営利企業だ。1600年から1874年の間に、自らの軍隊や領土をも有する史上最強の企業を作り上げ、今日では極めて英国的とされる商品である紅茶の取引をほぼ独占していた。 17世紀初頭、インド亜大陸は「東インド」と呼ばれ、裕福なヨーロッパ人が珍重する香辛料、織物、贅沢品などの産地として知られており、無限の可能性を秘めた地であるかのように考えられていた。 大航海時代が幕を開けてしばらくは、航海術にすぐれたスペイン

    史上最強の企業、英国東インド会社の恐るべき歴史
  • 人類の北米到達、定説覆す新証拠 アイダホ州の遺跡

    クーパーズ・フェリーの発掘調査で、1万5000~1万6000年前にさかのぼる遺物が出土している。従来、人類がアメリカ大陸に到達したと考えられていた年代より数千年古い。(PHOTOGRAPH BY LOREN DAVIS) 米アイダホ州西部の遺跡が、南北アメリカ大陸で最古の部類に入るとの研究結果が、8月30日付けの科学誌「サイエンス」に掲載された。 遺跡は、「クーパーズ・フェリー」と呼ばれる。放射性炭素年代測定によると、ここで人々が道具を作ったり、動物を解体したりしていたのは1万5000年~1万6000年前。近年、アメリカ大陸への人類移住の時期やルートに関しては、従来の定説を覆す遺跡がいくつか見つかっているが、クーパーズ・フェリーもその重要な例として加わることになった。 これまでの筋書き 20~30年前までは、おおむね1万3000年前のクロービス石器が、アメリカ大陸で最初の人類による技術だと

    人類の北米到達、定説覆す新証拠 アイダホ州の遺跡
  • アヘン戦争からデモ隊まで、見てわかる香港の歴史

    政治的な自由を求めてデモ隊の抗議活動が続いている香港が、「特別行政区」という地位を与えられた背景には、特殊な歴史があった。(ILLUSTRATION BY ADOLFO ARRANZ, NATIONAL GEOGRAPHIC) 人口700万人を超える大都市、香港で、政治と個人の自由を求める大規模デモが長期化している。だが、香港で抗議運動が起こるのはこれが初めてではない。香港の歴史は、急速な発展と政治的混迷、そして変化を求める運動の連続だった。25点のイラストを使って、香港史における重大な転換点を振り返ってみた。 1800年以前 中国が清の時代、小さな香港島は、辺境にあるのどかな漁村だった。ここへ英国の商人がインドから不法にアヘンを持ち込み、清の茶葉や絹、陶器などと交換した。後の激しい貿易戦争の火種は、こうして植え付けられた。やがて、清でアヘン中毒が深刻な問題となり、1839年には1000万

    アヘン戦争からデモ隊まで、見てわかる香港の歴史
  • 絶滅したマンモスを「絶滅危惧」リストに?なぜ?

    絶滅動物ケナガマンモス。その牙は、象牙同様に珍重されている。(PHOTOGRAPH BY JONATHAN BLAIR, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 8月17日からスイス、ジュネーブで開催されているワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の締約国会議で、驚くべき提案がなされている。マンモスを規制対象リストに加えようというのだ。 ケナガマンモス(学名Mammuthus primigenius)は、かつて北米やユーラシア大陸の北部に生息した哺乳類で、4000年以上前に絶滅している。現在生息している動植物の規制対象リストに絶滅種を加えるというこの提案は、当然ながら論争を呼んでいる。 ワシントン条約の目的は、国際取引が原因になって、現生の動植物が絶滅に追い込まれるのを阻止することにある。絶滅種が明確に除外されているわけではないもの

    絶滅したマンモスを「絶滅危惧」リストに?なぜ?
  • アンネ・フランクを密告したのは誰なのか

    オランダ、アムステルダムにある父親所有の倉庫に、2年以上隠れ住んでいたアンネ・フランクほか8人は、1944年8月4日、ナチスドイツとオランダ当局によって発見された。誰が、あるいは何が原因で、彼らの居場所が露呈したのか。75年たった今も、調査は続けられている。 現在、歴史家やデータサイエンティスト、さらには未解決事件を扱う法医学者のチームまでが、新たなテクノロジーを駆使して、密告者を特定するための調査を進めている。一方で、フランクが発見されたのは偶然だったのではないかとする意見もある。 『アンネの日記』として知られる、アンネ・フランクが13歳から15歳までつけていた日記は、ホロコースト(ナチスによるユダヤ人の大量虐殺)にまつわる文章としては最も広く読まれている。オランダの人々にとっては、ごく普通の市民が命を賭して困っている人たちを助けるこの物語は、占領下のオランダを描いた最も卓越した作品なの

    アンネ・フランクを密告したのは誰なのか
  • 人を襲ったクマは殺されるべきか

    イエローストーン国立公園のハイイログマ。ハイカーを殺したとされる母グマは、先週安楽死させられた。(Photograph by Michael T. Sedam, Corbis) 米国のイエローストーン国立公園で子連れの母グマがハイカーを殺した。人を襲ったクマを生かすか、処分するか。公園の責任者は難しい判断を迫られた。 先週から、同公園のオフィスには最高責任者のダン・ウェンク氏を「冷酷な処刑人」と呼ぶメールや電話が殺到している。その多くは野生生物を愛するがゆえに、ある母グマを救おうと、公園の決定を激しく非難するものだ。 著名な霊長類学者で、イエローストーンのハイイログマ(グリズリー)を愛してやまないジェーン・グドール氏も、英国からウェンク氏にメッセージを送った。不幸にもハイカーと遭遇し、国際的な論争を起こすことになった母グマを助けてほしいと要請したのだ。 「国立公園局で40年間働いてきました

    人を襲ったクマは殺されるべきか
  • 東アジア最古の彫刻か、10万年以上前、作者は謎

    中国東部で最近出土した、刻線模様が彫られた親指ほどの大きさの2つの骨片のうちの1つ。これまで東アジアで最古とされていた抽象的な刻線模様よりも、さらに数万年さかのぼる。(PHOTOGRAPH BY FRANCESCO D’ERRICO & LUC DOYON) 今から10万年以上前、現在の中国東部にあたる地域で、ある古代の人類が、動物の骨に模様を彫り込もうと考えた。その彫刻家は、日光にさらされて硬くなった肋骨のかけらを選んで、7のほぼ平行な線を刻み込み、鮮やかな黄土色の顔料を塗りつけて目立たせた。 この小さな骨片に刻まれた直線が今、古人類学者の間に波紋を広げている。意図的に彫られた抽象的な線としては、東アジアで最古の可能性があるからだ。7月8日付けで学術誌「Antiquity」に発表された論文の内容が確かなら、これまで6万年前とされていた記録が打ち破られたことになる。 彫刻の作者がヒトの系

    東アジア最古の彫刻か、10万年以上前、作者は謎
  • 森の再生で過去100年分のCO2を帳消しにできる

    ロシア、ボログダ地方を流れるボログダ川の空撮写真。ロシアは、新たな森を植林することで、排出された温室効果ガスを削減できる国の最有力候補だ。(PHOTOGRAPHY BY VLADIMIR SMIRNOV/ TASS/ GETTY) 地球全体にどれだけ森が広がれるかを調べた初の研究によれば、現在、森林の再生が可能な土地は米国の広さほどもあるという論文が、7月5日付けの学術誌「サイエンス」に掲載された。そのすべてが森で覆われれば、過去100年近くの二酸化炭素排出量を相殺する実力があるという。 論文によると、既存の都市や農業に影響を与えずに、世界の森林は現在のおよそ1.5倍にまで増やせるという。しかし、地球の気温が上昇するにつれ、森に適した土地は減っていく。地球温暖化を世界的な目標である1.5℃に抑えられたとしても、一部の熱帯林は暑くなりすぎるため、森林再生に利用可能な地域は2050年までに5分

    森の再生で過去100年分のCO2を帳消しにできる