「ファンのみなさんは日本代表を許してくれたのだろうか?」 昨年末に発売された「オシムの伝言」の中で、オシム元日本代表監督の通訳をつとめた千田善氏は、オシム氏の代表監督時代、自身が一度だけ、意図的な誤訳を行ったことを告白している。 それは、オシム氏の代表監督就任初戦トリニダードトバゴ戦の試合終了後の会見でのこと。スタジアムが満員であったことを「うれしい誤算があった」と語ったオシム氏は「ファンのみなさんは日本代表を許してくれたのだろうか?」と続けた。だが、千田通訳はそれを「日本の皆さんが本当にサッカーが好きなんだなということを実感した」と訳した。 オシム氏はドイツW杯での惨敗と自身への日本サッカー再生への期待を重く受け止めていた。それがこの言葉に表れていたが、通訳となってまだ日が浅い千田氏は、その時点ではそこまで察することができず、咄嗟に波風の立たない言い方に言い直してしまったと。 あのとき、