月の「海」はほぼ、地球を向いた月の表側にしか存在していない。岩石中の成分が火山活動の活発さに関わり、月の表裏の違いを増幅させたことが実験で明らかにされた。 【2020年7月10日 東京工業大学】 月は自転周期と公転周期が一致しているため、いつも地球に同じ面を向けている。地球から見える面が便宜上、月の「表(おもて)」とされていて、この表側に色が濃い部分と薄い部分があることは肉眼でも確認できる。このうち濃い部分は、月の性質がよくわかっていなかった時代のなごりで「海」とも呼ばれる。一方、地球からは見えない月の裏側には、この海がほとんど存在しない。 太陽に照らされた月の裏側と地球。NASAの人工衛星DSCOVRが2015年に撮影(提供:NASA/NOAA) NASAのアポロ計画で382kgにもおよぶ大量の月の石が地球に持ち帰られたことにより、月の海の岩石は特徴的な化学組成を持ち、火山活動に起因する