それでは、これからのウクライナ・ロシア情勢はどのようになっていくのか。 ニュースで語られるような戦況の報告だけでなく、国内外の研究者ネットワークでの議論、周辺国の動向などをウォッチしている廣瀬さんに、中長期的な見通しについて、考えを語ってもらおう。「従来の理論が崩れた」ことで、虚心に事態を見ていかざるをえなくなった廣瀬さんだからこそ、その言葉に耳を傾けたい。 「まず、この紛争は、長引くだろうと思っています。長引く中で『凍結された紛争』のようになる可能性は結構高いのではないかと思います。つまり、今回、双方とも負けを認めないと思うんですよね。でも、停戦しないといけないとなると、勝敗を決めずに、これから例えば10年間、現状を固定化しましょう、というような合意をし、しかし、その合意は恒久的ではなくて、いずれどちらかがかなり復活してきたらまた戦闘を仕掛けるというようなシナリオが、一番ありそうだと思い