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ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (103)

  • ロケットと宇宙船が爆発でも「成功」、スペースXの流儀とは

    テキサス州ブラウンズビル近郊にあるスペースX社の発射台で打ち上げの準備を進める世界最大の宇宙ロケット「スターシップ」。(PHOTOGRAPH BY JOE SKIPPER, REUTERS/REDUX) 11月18日の現地時間午前7時3分、米国テキサス州ボカチカからスペースXは史上最大のロケット「スターシップ」を打ち上げた。「スーパーヘビー」と呼ばれる1段目の巨大ブースターロケットは、ロケットと同じ名前の宇宙船「スターシップ」を分離した後、地上に落下する途中で爆発した。宇宙空間まで上昇したスターシップは、高度約148キロメートルで通信が途絶え、スペースXがエンジンを停止させる直前に自動飛行停止システムが作動し、メキシコ湾上空でやはり爆発した。スターシップは東へ向かい、地球をほぼ一周してからハワイ付近の太平洋に着水する予定だった。 スペースXによる実験的な打ち上げは、これまでに何度も爆発や災

    ロケットと宇宙船が爆発でも「成功」、スペースXの流儀とは
  • ミネラルの多い硬水を噴霧すると軟水に近づく、岐阜大などが発見

    ミネラルを多く含む硬水を噴霧するとカルシウムイオンが減って軟水に近づくことを、岐阜大学教育学部の久保和弘教授(栄養学)と水回り部品を製造する企業TKS(社岐阜市)のグループが明らかにした。今後数年、硬水を産出する地域が広がる北米の展示会に、霧をつくるノズルのプロトタイプを出品するなどして需要がどこまであるかを探り、実用化の可否を判断したい考えという。 日の水はほとんどが軟水だが、欧米やアジアでは硬水が多い。洗剤・石けんの泡立ちが悪い、配管内に無機質の垢(あか)がたまって詰まりやすくなる、過剰摂取すると健康リスクが高まるといった不都合がある。このため硬水地域では、アルカリ剤を投入したり膜で濾過したりして軟水に近づけることがある。 久保教授らは以前から、ノズルから噴霧する水に含まれる微細な泡について研究しており、硬水で実験すると白い析出物ができることに気がついた。硬水を加熱して(エネルギー

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  • 20世紀の英国に実在した最後の「魔女」、ヘレン・ダンカン

    降霊中、鼻と口からエクトプラズムを出すヘレン・ダンカン。しかし、降霊術に懐疑的な人々は、これが単なるチーズの漉し布であると主張している。(PHOTOGRAPH BY DAILY MIRROR ARCHIVE, MIRRORPIX/GETTY IMAGES) 英ロンドンにある中央刑事裁判所、通称「オールドベイリー」は、過去200年間、英国で起きた数々の悪名高い犯罪を裁いてきたことで知られている。そのなかでも特に変わった裁判が、第二次世界大戦真っ只中の1944年3月23日に始まった魔女裁判だ。 英国で最後に魔女が処刑されてからすでに数百年が経過していたが、この日、ヘレン・ダンカンという霊媒師が同じ罪で裁判にかけられた。その結果、ダンカンは有罪となり、魔法行為禁止法で投獄された英国最後の女性となった。その生い立ちから魔法行為、そして、魔女裁判の顛末までを紹介しよう。 幼い頃の二つ名は「地獄のネル

    20世紀の英国に実在した最後の「魔女」、ヘレン・ダンカン
  • マラソンの起源は「古代ギリシャの故事」は誤り、真相は

    紀元前490年、ペルシャに勝利したという吉報を携えてアテネに古代ギリシャの急使フィリッピデスが到着した出来事が、現代のマラソンの起源になったと伝えられている。この伝説の問題点は何か? そんな事実は存在しないことだ。(IMAGE BY SALINAS, ALBERTO VIA LOOK AND LEARN / BRIDGEMAN IMAGES) 42.195kmを走るマラソンの起源について誰かに質問したとしよう。するとおそらく、古代ギリシャの急使フィリッピデスが、ペルシャとの決戦でギリシャが勝利したことを知らせるため、マラトンの町からアテネまで約40kmを走り、その場で絶命したというエピソードを聞くことになるだろう。ギリシャは古代オリンピックに「マラソン」の競技を追加することで、フィリッピデスの働きをたたえたと伝えられている。(参考記事:「オリンピックの驚きの歴史、古代ギリシャから東京まで」

    マラソンの起源は「古代ギリシャの故事」は誤り、真相は
  • 地球外生命“発見前夜”、木星の衛星へ日本参画の探査機が船出

    「生命は必ずしも我我の五感に感ずることの出来る条件を具(そな)えるとは限っていない」とは芥川龍之介の言葉(警句集「侏儒(しゅじゅ)の言葉」)だが、どうだろう。21世紀の今、人類はこれに挑む新たな探査機を宇宙へと放った。地球外生命の手がかりを木星の衛星で探す欧州の「ジュース(JUICE)」だ。日は重要な観測機器の開発や科学研究で参画している。木星到着は8年後。果たして木星の衛星に生命がいて、科学技術で磨き上げた“五感”がそれを捉えられるだろうか。 「人類最大の疑問に答える」 ジュースは日時間4月14日午後9時14分、南米の仏領ギアナの宇宙センターから欧州のアリアン5ロケットで打ち上げられた。順調に飛行し28分後、高度1500キロで地球脱出軌道へと正常に投入。さらに22分後、ジュースの信号を地上で確認すると、管制員らが拍手をし、抱き合って喜んだ。欧州宇宙機関(ESA)のヨーゼフ・アッシュバ

    地球外生命“発見前夜”、木星の衛星へ日本参画の探査機が船出
  • 世界の海軍で活躍したネコたち、専用の制服やハンモックも

    1914年、英国海軍の水兵が「HMSセンチネル号」のネコたちとともに、ラム酒の樽を囲んでポーズをとる。この年、米国海軍は船へのアルコールの搭載を禁じたが、何千年にもわたって船乗りたちの健康、幸福、安全を守り続けてきたネコの乗船は認められていた。(PHOTOGRAPH COURTESY OF DR. RUTH J. SALTER) 彼らはトム・ザ・テラー、ウォックル、バウンス、ダーティー・フェイスなどと呼ばれ、タフな水兵たちと一緒に、名高い軍艦で何万キロも海を渡った。船乗りたちの貴重な仲間で、小さな制服を作ってもらったり、専用の小型ハンモックをもらったりした。一生を通じて、地に足をつけたことがない者も多かった。世界中の海軍で活躍したネコたちのことだ。 ネコが船に乗るようになったのは、人間が海に出るようになってすぐのころからだ。ネコが世界中に広まったのは、主に船乗りたちによるところが大きい。古

    世界の海軍で活躍したネコたち、専用の制服やハンモックも
    norixto
    norixto 2023/04/18
  • 300万年前の「意外な」石器を発見、作者はヒト属でない可能性

    科学者たちはケニア南西部のニャヤンガ遺跡を発掘し、300点以上の石器を発見した(写真は発掘調査開始前の2014年に撮影したもの)。(PHOTOGRAPH BY T.W. PLUMMER, HOMA PENINSULA PALEOANTHROPOLOGY PROJECT) 考古学者たちがケニア南西部のニャヤンガ遺跡で特徴的な石器を発見した。石器は最も古くて300万年ほど前のものと考えられる。オルドワン技術(旧石器時代初期にアフリカ東部で発達した道具製作の伝統)を用いた石器としては世界最古のものだ。 さらに意外だったのは、これらの石器がパラントロプス属の化石と共に発見されたことだ。パラントロプス属は、現生人類を含むヒト属とは異なる系統の初期人類である。 この発見は、私たちヒト属以外の初期人類も石器を使っていたという説を裏付けると同時に、オルドワン技術の始まりが、これまで考えられていたよりも数十

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  • 世界一黒い触れる素材、「至高の」暗黒シートを開発、産総研など

    可視光を99.98%以上吸収しほとんど反射しない「至高の暗黒シート」を産業技術総合研究所と量子科学技術研究開発機構の研究グループが開発した。カシューナッツの殻から抽出したポリフェノール類の「カシューオイル」の樹脂を利用。同じグループが2019年に開発した「究極の」シートを超えた黒さで、耐久性も良く、触れる素材では世界一の黒さとなった。 反射の少ない黒色材料は装飾や映像、太陽エネルギー利用、光センサーなど多分野で利用され、優れた材料が切望されている。炭素でできた円筒状の物質、カーボンナノチューブでできた材料はあらゆる光を99.9%以上吸収し世界一とされてきたが、触ると壊れてしまい実用が難しかった。 研究グループは2019年に「究極の」暗黒シートを発表した。これは加速器からイオンビームを照射するなどして、カーボンブラック顔料を混ぜたシリコーンゴムに微細な円すい状の凹凸を作り、ここに光を閉じ込め

    世界一黒い触れる素材、「至高の」暗黒シートを開発、産総研など
  • 新年を最初に迎える国はどこ? 最後の国は? 南極はいつ?

    新年の到来を祝い、オーストラリア、シドニーのハーバーブリッジとオペラハウスで花火が打ち上げられている。シドニーは世界の大部分より早く新年を迎えるが、決して新年が最初に来る場所ではない。2020年撮影。(PHOTOGRAPH BY HANNA LASSEN/GETTY IMAGES) 地球の1日は約24時間だ。それなら約24時間のあいだに地球のすべての地域が元旦を迎えられそうだが、実際はそうなってはいない。なぜか。 原因は、1日の始まりと終わりを決める「国際日付変更線」の紆余曲折だ。日付変更線の概念は1884年、鉄道の発達と国をまたぐ移動の増加に伴い、国際秩序をつくる会議で導入された。国際日付変更線は、太平洋の真ん中を南北に貫く180度経線にほぼ沿っている。英国グリニッジを通る初子午線から地球を半周した真裏の位置にある。

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  • 科学者さえも息をのむ、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の画像

    NASA(米航空宇宙局)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、地球から150万キロメートル離れた宇宙から、塵のベールに隠された天体をのぞき込んでいる。見えてきた宇宙は、天文学者がこれまで想像していたよりもはるかに豊かで不可解だった。 ウェッブ望遠鏡は史上最大の宇宙望遠鏡で、赤外線を利用して塵のベールの向こうの天体をとらえる。私たちの目に見える可視光よりもエネルギーが弱い赤外線は塵の中を通過しやすく、ウェッブ望遠鏡の口径6.5メートルの主鏡は、宇宙の最も彼方の天体からくる赤外線まで集めることができる。(参考記事:「ここがすごい!ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」) ウェッブ望遠鏡の中間赤外線観測装置(MIRI)がとらえた、有名な「創造の柱」のガスと塵の嵐。この領域でガスや塵の塊ができると、自らの重力で崩壊し、ゆっくりと温度が上昇して、やがて新しい星が生まれる。(IMAGE BY NASA, ES

    科学者さえも息をのむ、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の画像
  • なぜ植物は異種でも茎や枝がくっつくのか、接ぎ木の秘密に迫る

    接ぎ木は、異なる種類の植物の茎や枝などを切ってつなぎ合わせ、“イイとこ取り”をして農業や園芸に役立てる方法だ。組み合わせにより病気や害虫、連作障害に強くしたり、収穫時期をずらしたりとメリットが大きいという。植物の見事な修復能力をうまく利用しているが、方法が広く知られているわりに、仕組みはよく分かっていなかった。こうした中、奈良先端科学技術大学院大学などの研究グループが、重要なスイッチ遺伝子やホルモンを突き止めるなど、謎の解明を進めている。 切り口の「カルス」どうしてできる 例えばキュウリとカボチャの胚軸(根と子葉の間の茎)に切り込みを入れ、接ぎ木することが広く行われている。別の種をつなぐなんて…何だか荒っぽいことにも思えるが、正しくやれば植物は乗り越えてくれるという。切り口には「カルス」という未分化状態の細胞の塊ができ、切り口をふさいでつなぎ合わさる。カルスはやがて、水分や養分が通る維管束

    なぜ植物は異種でも茎や枝がくっつくのか、接ぎ木の秘密に迫る
  • 2022年の驚くべき発見22 人類の知はこれだけ広がった

    毎年、世界中の研究者が、人類の知の蓄積に貢献している。 古生物学者や考古学者は過去の痕跡から、はるか昔に失われた生命や文明を明らかにする。生物学者や地球科学者は地球とこの星に暮らす生命の仕組みを解明し、天文学者は地球の外に広がる謎を追求する。そして医学者は、人体の複雑さとそれを脅かす病気を研究し、人類という種を守るための新たな手段を開発する。 人類の絶え間ない探求と実験からもたらされる発見は、予想もしなかったようなものであることも少なくない。今年、特に大きな驚きとなった発見を以下にまとめた。

    2022年の驚くべき発見22 人類の知はこれだけ広がった
  • 核融合研究が前進、高エネ粒子の電磁波によるプラズマ加熱を発見

    高エネルギー粒子から生じる電磁波により、プラズマが加熱されることを発見した、と核融合科学研究所(岐阜県土岐市)などの研究グループが発表した。将来の夢のエネルギー技術と期待される核融合発電では、核融合反応で生じる高エネルギー粒子がプラズマを加熱し、反応を持続する。この時、高エネルギー粒子がプラズマ粒子に直接衝突しない新たな仕組みが分かったことで、核融合発電の実現に向けた研究などに役立つと期待される。 プラズマは固体、液体、気体とは異なる物質の第4の状態。気体にエネルギーが加わり温度が上昇していき、電子が原子から離れ、電子とイオンが自由に運動して非常に活性化した状態となったものだ。 そこで研究グループは新たな計測システムを開発。同研究所のプラズマ生成装置「大型ヘリカル装置(LHD)」を使い、核融合反応の高エネルギー粒子に見立てた重水素と水素の原子を高速ビームにしてプラズマに入射。光の波長を基に

    核融合研究が前進、高エネ粒子の電磁波によるプラズマ加熱を発見
  • 【解説】NASA探査機が小惑星に命中、史上初の地球防衛実験

    衝突の直前、小惑星ディモルフォスに接近する探査機DARTからの眺め。(PHOTOGRAPH BY NASA TV) 地球から約1100万キロ離れた場所で、時速2万2000キロ超で進む探査機が、はるか昔から宇宙空間を漂っていた小惑星に激突した。 NASAの探査機「DART(二重小惑星軌道変更実験)」と、直径約160メートルの小惑星「ディモルフォス」は、日時間の27日午前8時14分頃に衝突し、人間が意図的に天体の軌道を変更させた初めての事例となった。これはまた、いつの日か地球に衝突する小惑星の軌道をそらすために活用できる大胆な地球防衛戦略の初めての実験でもある。 科学者らは、惑星規模の大量絶滅を引き起こすほど大きな小惑星が地球に向かってくることは、今後少なくとも100年間はないと確信している(それ以降は軌道の予測が難しくなる)。しかし、より小規模な、都市を破壊できる程度の隕石が突然宇宙からや

    【解説】NASA探査機が小惑星に命中、史上初の地球防衛実験
  • 人類が宇宙に滞在し続けて20年目の日、人類の偉業ISS

    2018年10月に国際宇宙ステーション(ISS)を離れた3人のクルーが撮影した写真。地球の青く薄い大気の上に、ISSが大きく浮かび上がっている。技術的にも外交的にも大きな成功を収めたISSでは、2000年11月2日以来途切れることなく人間が生活し、働いている。(ROSCOSMOS/NASA) 2000年のハロウィーン(10月31日)は歴史的な日となった。米国人1人とロシア人2人の宇宙飛行士を乗せたロシアのソユーズロケットが、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から、完成したばかりの国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられたのだ。 クルーは2日後にISSに到着。それから20年間、地球低軌道上のISSには人間が1日も途切れることなく生活し、仕事をしている。 ISSは、人類史上最も高価で技術的に複雑な建造物の1つだ。1500億ドル(16兆円弱)を投じて建設され、サッカー場ほどの大きさがあ

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  • 第8回 旧ソ連諸国から軽視され始めたロシアとウクライナ侵攻のこれから

    それでは、これからのウクライナロシア情勢はどのようになっていくのか。 ニュースで語られるような戦況の報告だけでなく、国内外の研究者ネットワークでの議論、周辺国の動向などをウォッチしている廣瀬さんに、中長期的な見通しについて、考えを語ってもらおう。「従来の理論が崩れた」ことで、虚心に事態を見ていかざるをえなくなった廣瀬さんだからこそ、その言葉に耳を傾けたい。 「まず、この紛争は、長引くだろうと思っています。長引く中で『凍結された紛争』のようになる可能性は結構高いのではないかと思います。つまり、今回、双方とも負けを認めないと思うんですよね。でも、停戦しないといけないとなると、勝敗を決めずに、これから例えば10年間、現状を固定化しましょう、というような合意をし、しかし、その合意は恒久的ではなくて、いずれどちらかがかなり復活してきたらまた戦闘を仕掛けるというようなシナリオが、一番ありそうだと思い

    第8回 旧ソ連諸国から軽視され始めたロシアとウクライナ侵攻のこれから
  • 人類を再び月面へ、NASA「アルテミス計画」ビジュアルガイド

    ケネディ宇宙センターから打ち上げられる無人ミッション、アルテミス1は、数週間かけて月と地球の間を往復する。このフライトは、アルテミス2ミッションで予定されている最初の有人飛行に向けた新型宇宙船のテストとして実施される。(縮尺は正確ではない)(Sources: NASA) アルテミス計画は、人類を再び月面へと送り込むこと、また月の軌道に半永久的に常駐する宇宙ステーションを建設することを目指している。そこでは史上初めて女性や有色人種が月へ向かう見込みだ。「アルテミス1」ミッションはこの計画の第一段階。NASAは新たな大型ロケット「宇宙発射システム(SLS)」と宇宙船「オリオン」とともに、有人月探査を再開させる。(参考記事:「「再び月面着陸へ」アルテミス計画いよいよ、9つの質問」) 宇宙発射システム(SLS)は、強力なエンジン4基と固体燃料ブースター2基を駆使して地球の大気圏を突破、将来のミッシ

    人類を再び月面へ、NASA「アルテミス計画」ビジュアルガイド
  • サル痘について今わかっていること、感染経路や治療薬、歴史など

    サル痘ウイルス粒子の電子顕微鏡画像。2003年にサル痘が流行した際にヒトの皮膚から採取された。左側の楕円形のものは成熟したウイルス粒子、右側の三日月形や球形のものは未成熟なウイルス粒子。(CDC/CYNTHIA S. GOLDSMITH/SCIENCE SOURCE) 2022年5月7日に英国でサル痘の感染者が確認されて以来、世界各地に感染が広がっており、各保健当局が状況を注視している。世界保健機関(WHO)の5月29日の発表では、5月13〜26日の間に、欧米の少なくとも16カ国およびオーストラリアとイスラエルで、サル痘の確認例が257件、疑い例が約120件報告されている。 サル痘の自然界での宿主は中央アフリカと西アフリカの動物と考えられており、主に森林地帯で流行しているため、それ以外の場所で人間がサル痘に感染することはまれだった。2018年から2021年までの間に、サル痘の流行地以外で感

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  • mRNAワクチンでがんを治す、画期的な治療法に光

    悪性黒色腫(メラノーマ、画像のピンク色の部分)は、人間のがんの中で最も恐れられているものの1つだ。転移が早く、ほとんどすべての臓器に広がる可能性がある。画像は肺に転移したもの。なお、画像の細胞の色は実際の色ではない。(IMAGE BY DR. CECIL H. FOX, SCIENCE SOURCE) 2019年2月、司法試験の勉強をしていたモリー・キャシディーさんは、耳に激しい痛みを感じた。やがて痛みはあごにまで広がり、舌の下にしこりも見つけた。米アリゾナ州ツーソンに住み、教育学の博士号ももつ彼女は、「どの病院に行っても、生後10カ月の息子を育てながら勉強しているストレスが原因だと言われました」と振り返る。納得がいかずにさらに他の病院に行くと、のどやあご、鼻、口、耳などにできる「頭頸部がん」だと判明した。 キャシディーさんは舌の一部と35個のリンパ節を切除する手術を受け、35回の放射線照

    mRNAワクチンでがんを治す、画期的な治療法に光
  • 明治時代のレインカバー

    笠をかぶった男性の横には荷車。その荷物には雨よけの大きな覆いがかぶせられている。これが現代ならば、合成樹脂でできた青や緑のシートを思い浮かべるところだが、この写真が掲載されたのは、100年以上前の1906(明治39)年4月号の特集「外来の植物」だ。その頃の覆いには、どんな素材が使われていたのだろうか。 写真の説明を読んでみると、Mitsumata paperとある。低木のミツマタを原料とした紙のことだ。エゴマ油を塗って、水をはじく油紙に加工され、4年も使われていると説明に書かれている。 特集の筆者で、米農務省の植物学者デビッド・フェアチャイルドは、日の農業事情を調査するため、1903年に来日した。そのときの記録は1904年5月号の特集「日に学ぶ」で詳しく紹介されている。荷車で茶葉を運んでいた農夫は、大雨に降られると、油紙でできた覆いを荷車から取り出し、荷物にかぶせたという。大都市で働く

    明治時代のレインカバー