NASAの木星探査機「ジュノー」の最新の成果が論文として発表され、表面に見える大赤斑や縞模様などの裏で起こっている大規模な大気現象が明らかにされた。 【2021年11月5日 NASA JPL】 2016年に木星周回軌道に入ったNASAの探査機「ジュノー」は、これまでに木星への接近探査を37回完了した。マイクロ波や赤外線といった、木星の分厚い雲を見通すことができる機器などによる観測の成果をまとめた論文が発表されている。 ジュノーのマイクロ波放射計(MWR)は大赤斑などの嵐を調べ、高層と低層での温度の違いを突き止めた。その結果から、木星の表面に見える渦の多くは100kmの深さにまで伸びていることがわかった。これは太陽光が届いて大気を温める高度よりも深い。また、大赤斑は重力に変化を及ぼすほどの質量があるので、ジュノーが時速20万kmで通過するときに起こった毎秒0.01mm程度の速度の変化を検出す
10月15日、木星の表面で小天体の衝突によるものと推定される閃光現象が観測された。謎の多い閃光現象の詳細な特性や、閃光を引き起こす小天体の素性に迫るためにも、当日の閃光現象を観測撮影したデータを広く募集中だ。 【2021年10月29日 星ナビ編集部】 報告:有松 亘さん(京都大学 OASES project) 2021年10月15日22時24分(日本時間)に、木星表面で小天体の衝突によるものと推定される閃光現象が発生し、少なくとも国内3地点からの観測に成功した。木星表面の閃光が観測されたのは史上9例目であり、国内で観測されたのは2010年8月以来2例目となる。 これまでの発見例はいずれもアマチュア天文家による偶然の発見であったが、今回の閃光現象は京都大学吉田キャンパス(京都市左京区)で実施中の、閃光検出に特化して筆者が開発した観測システム“PONCOTS”(Planetary Observ
国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟内で、宇宙では初めてとなる密閉した袋内での栽培実験が行われ、レタスの生育と収穫に成功した。 【2021年10月29日 JAXA】 月や火星への有人飛行など、宇宙における人類の活動拡大が見込まれる中、食料を宇宙で生産する手段が必要とされている。2017年からJAXAを中心とした官民共同で研究開発されている袋型培養槽技術もその一つで、小型の袋の内部で植物を増殖させることで雑菌混入や臭気発生を防げるのが強みだ。また、設備が簡易なので地球からの輸送やメンテナンスがしやすい、省エネルギー、数量調整がしやすいなどのメリットもある。将来的に月面基地や宇宙船での栽培に使われると期待される。 (左)地上での袋型培養槽による栽培の様子。(右)月面農場のモデルイメージ(提供:(左)キリンホールディングス、(右)竹中工務店) 袋型培養槽技術を宇宙空間の微小重力環境下や閉鎖環
オーロラが見えやすい地域「オーロラ帯」の変化を過去3000年にわたり再現する計算結果が発表された。広範囲のオーロラと同時に起こりうる電力障害を想定し対策するための基礎となると期待される。 【2021年9月13日 国立極地研究所】 オーロラは太陽から飛来したプラズマが地球の大気に衝突することで発光する現象だ。プラズマは地球の磁力線に沿って地球の南北両極付近へ運ばれるため、オーロラも高緯度地域で見られる。ただし、地球の磁力線が集まる「磁極」は自転軸の極からややずれていて、北半球ではグリーンランド北部、南半球では南極大陸のドームC付近にある。さらに、磁極の位置は年々変化している。オーロラ帯は磁極を卵のような輪郭のドーナツ形に取り囲んでいて、地磁気の変化に伴って形を変え続けてきた。 現在の日本ではオーロラが見えることはほぼないが、過去の文献にはオーロラと思われる記録が残されている。たとえば、藤原定
「はやぶさ2」が持ち帰ったリュウグウ試料の一部が、詳細記載と初期分析のチームに引き渡された。大量の水や有機物を含むことが改めて確認されている。 【2021年6月18日 JAXA】 昨年12月に「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウの試料は、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)の地球外物質研究グループによって、顕微鏡観察と分光・計量、カタログへの記載という第1段階(フェーズ1)の「キュレーション作業」が約6か月にわたって行われてきた。これまでに約1mm以上の粒子が203個選別され、個別にカタログに記載されて1粒ずつ容器に保管されている。また、粒の小さな微粒子や粉体の試料は7つの容器にまとめてカタログ化された。 フェーズ1キュレーションが終わった個別粒子の輸送コンテナ。凹面のサファイアガラス2枚の間に試料をはさんで固定している。ケース内には窒素ガスが封入され、地球環境による汚染を防いだ状態で
小惑星リュウグウを観測した探査機「はやぶさ2」のデータから、水に浮くほど低密度の岩塊が見つかった。太陽系誕生時に塵が集まってできた最初期の物質かもしれない。 【2021年6月1日 JAXA】 太陽系誕生直後の物質の情報を残しているという意味で、小惑星は始原的な天体と言われることが多い。だがそんな小惑星でも、物質が集積して自己重力や放射性元素の崩壊熱によって変性したり、衝突による破壊と再集積を繰り返したりしている。塵が集まってできた、本当の意味で最初の太陽系天体である微惑星は、フワフワした低密度の物質だっただろうと考えられているが、その存在はまだ確認されていない。 立教大学の坂谷尚哉さんをはじめとする小惑星探査機「はやぶさ2」サイエンスチームの発表によると、そんな微惑星の組成を維持したかけらが小惑星リュウグウの表面に残されていて、「はやぶさ2」が回収したサンプルの中にも含まれているかもしれな
Ia型超新星の観測データからハッブル定数を算出したところ、観測する距離によって異なる値となった。宇宙の膨張に関わる物理法則を見直す必要があるかもしれない。 【2021年5月21日 国立天文台】 宇宙が誕生した138億年前から現在に至るまで宇宙空間は膨張し続けている。その膨張率は、宇宙に存在する物質やダークマターによる重力と、未知の作用であるダークエネルギーによって、時間の経過と共に変化してきた。現在の宇宙における膨張率を表す「ハッブル定数」は、宇宙論における重要なパラメーターだ。 宇宙膨張の歴史のイメージ(提供:国立天文台) ハッブル定数の決定は年々精密になってきているが、導出に使う手段によって異なる値が出てしまうという問題が近年浮かび上がっている。代表的な2つの手段は、近傍の銀河の移動速度を調べる方法、そしてビッグバンの残光である宇宙マイクロ波背景放射を元に導出する方法だ。2つの手段で得
「はやぶさ2」が持ち帰ったリュウグウ試料の赤外線スペクトルから、水や有機物にみられる吸収が検出された。また、「はやぶさ2」の小型カメラが劣化により故障したことが報告された。 【2021年4月30日 JAXAはやぶさ2プロジェクト】 2020年12月に「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウの試料は現在、JAXA宇宙科学研究所の地球外試料キュレーションセンターで、大きめの粒子と粒の細かい試料(バルク試料)に分けられ、それぞれ高精細の顕微鏡を使った分析が行われている。 4月27日に行われた記者説明会では、バルク試料の赤外線分光測定の結果や、「はやぶさ2」および地上望遠鏡によるリュウグウの科学観測の成果、さらに「はやぶさ2」本体の状況について報告が行われた。 リュウグウ試料のスペクトルから水、有機物などの特徴を検出 キュレーションチームでは、リュウグウ試料に赤外線を当てて反射光を分光する測定を
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