進化倫理学入門 作者:スコット・ジェイムズ名古屋大学出版会Amazon 本書は道徳哲学者スコット・ジェイムズによる進化的な考え方を取り入れた道徳についての解説書になる.大きく2部構成になっており,第1部ではヒトに道徳があるのは進化的にどう説明されるのか,道徳はどのように実装されているかについての道徳心理学が扱われ,第2部では第1部の議論を前提にした上で道徳哲学,特に規範倫理学とメタ倫理学の議論が展開されている.原題は「An Introduction to Evolutionary Ethics」. 序章 序章ではE. O. ウィルソンが巻き起こした社会生物学論争に簡単に触れながら,道徳と生物学の関わりが整理されている.これは議論が混乱しやすいので最初に扱っているのだろう.ジェイムズは生物学と道徳の関連についてキッチャーによる以下の整理を紹介している. ヒトの道徳心理がなぜあるのかについての