「敵」であるはずのナチ賛美の詩にロシアで人気が集まったことは、ナチもプーチン体制も同質だと示している Photo: Trifonov_Evgeniy / Getty Images 愛国詩の「新星」 ロシアでは、反戦や体制批判のメッセージを作品に盛り込む芸術家が国内で活動できなくなっている。その代わりに、体制によって推奨され、体制を支持する文化人らによって高い評価を受けるようになっているのが、いまウクライナでおこなわれている戦争やウラジーミル・プーチン大統領を賛美する「愛国的」な芸術だ。 そのような状況のなか、2023年夏から「愛国詩」(プーチンのプロパガンダに使われるZの文字から「Z詩」と通称される)の分野でにわかに頭角を現しはじめた人物がいた。 ゲンナジー・ラキーチンと名乗るその「詩人」は、モスクワのしがない学校教員で、それまで文学活動をしていなかったという。だが2023年7月から、ロシ