6月21日と22日、記者はトルコ最大都市・イスタンブールを訪れた。向かった先は、新市街と呼ばれるエリアの中心に位置する「タクスィム広場」。そこは当時、世界が最も注目する場所の1つだった。 反政府デモと警官隊の激しい衝突が続いていたためだ。 5月下旬、きっかけはささいな出来事だった。この広場に隣接する「ゲジ公園」の開発に対して、ある市民グループが反対運動を続けていた。開発に着手すべく、政府はこれを実力行使によって排除した――。どこにでも転がっていそうな話だ。だが、この政府の強硬な姿勢が、一部市民の鬱積していた不満に火をつけた。 怒れる市民がタクスィム広場に集結したのに対して、エルドアン政権はあくまで強硬な姿勢で臨んだ。反政府デモ隊と化した市民は火炎瓶を投じ、警官隊は催涙ガスと放水で応じた。対立は激化し続け、しかもトルコの地方都市にまで波及した。それでもなお、エルドアン首相は「反・反政府デモ」