「同調圧力の強い国の中で、多様性の大事さを訴えていくのはすごく難しい」――。インタビューのさなか、是枝裕和監督(56)がそう口にした場面があった。カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した『万引き家族』。その映画に文化庁の助成金が使われたことや、文部科学大臣の「祝意」を拒んだことに話が及んだ時のことだ。『万引き家族』がそうであったように、是枝監督はしばしば社会の片隅に生きる人々を主人公に据える。「国家」などの「大きな物語」ではない「小さな物語」。それにこだわるのはなぜか。自身の真意は、本当に伝わっているのか。是枝監督と1時間半、向き合った。(文・飯田千歳、写真・穐吉洋子/Yahoo!ニュース 特集編集部)