難波和彦氏のアレグザンダーに関する批評を読んで、いろいろ思うところがあった。これはアレグザンダーの方法や業績を概観できる素晴らしい批評なので一読することをお勧めしたい。 断っておきたいが、ぼくはアレグザンダーを詳しく読み込んだわけではないため、以下の記述はただの雑感である(と、いちおう予防線を張っておく)。 構造はどこにあるのか建築や都市は人間がつくるものである。この意味で建築や都市は思考が現実化された存在である。一般的に建築家や都市計画家は外界に存在する建築や都市、つまり対象そのものの構造を問題にする。これに対しアレグザンダーはいきなり対象に向かうのではなく、対象を記号化し思考の対象へ還元した上で、記号の構造を問題にした。アレグザンダーは、設計という営みのなかに一つの次元を発見している。それは思考パターンの問題である。都市設計がいままでツリー型で設計されてきたのは、人間がツリー型で物事を