ブランコ。ミラノビッチさんこの記事の写真をすべて見る 世界銀行の主任エコノミストも務め、日本などの先進国中間層の成長率の鈍化を見破り、的確に分析したブランコ・ミラノビッチ氏。ここでは先進国中間層がなぜ没落した理由、そして、これからの資本主義を分析するために欠かせない「無道徳性」とは何か? 最新刊『2035年の世界地図』で語った資本主義の未来予想図を、本書から一部を抜粋・再編して大公開します。 【図】ひと目でわかる。先進国の中間層の陥没 * * * ■先進国の中間層はどうして没落していくのか? ――グローバル資本主義の牙城ともいうべき米国の社会には深い断層が走り、社会構造を引き裂きつつあります。米国社会の分断を引き起こした要因は、地理的なもの、教育的なもの、そして時には道徳的なものなどがあると思います。それらはすべて、中流階級の収入の停滞と非常に密接に関連しているように見えます。これを、