10年ほど前の話。 暫く連絡を取っていないが、私には、声優志望の友達がいた。 彼はかなりのヒネクレた“中二病”で、声優学校のチャラい同級生を毛嫌いし、蜷川や富野の「本物の芝居を見ろ」という言葉を真に受け、よく私を、下北沢に居る名も知れぬ小劇団の戯曲に連れて行った。 私には、シェイクスピアも、チェーホフも、お芝居もよく分からなかった。 しかし、下北独特のサークル感。狭い道にシャレた格好の若者が往来し、古着屋やライブハウスのある「下北文化」にあてられた私は、オタク文化圏を一歩出て、いわゆる“サブカルクソヤロウ”の世界に、まんまと導かれてしまった。 ミニシアター映画にはそこそこハマったが、何より私は「日本のインディーズロック」に興味を惹かれた。(それと同じくらい古着にもハマったが。) 東横線から渋谷で井の頭線に乗って下北沢に降り立ち、下北沢を拠点に活動してるバンドのライブや、サーキットフェスには
