五十三、ダドリー、トム、安部 ロンドン 七月二十七日 午前一時四十五分 日本時間 七月二十七日 午前九時四十五分 老人たちが笑い声を上げてから約九時間ほど後、山本との交渉を終え、任務を終えた形のダドリーは予知を聞いて場を離れるわけにも行かず、VA委員のトム・テートの隣にぼんやりと座っていた。 「ダドリー」トムが囁くように呼ぶ。 「何でしょう?」眠りから覚めたときのように、けだるそうな声でダドリーは答える 「君は優秀だな」小さな声で言う。 「いや、この結果ではダメです」ダドリーもトムに合わせてひそひそと答える。 「僕はそうは思わないよ」 「そうですか、ありがとうございます」 「だからちょっと意見を言いたいんだがね」 「はい?」 「IAAよりVAの方が君に向いてる気がする」 「はあ、しかし軍事には疎いですよ」 「うん、将官になって欲しいという意味ではないんだ」 「ん、どういうことですか?」 「