菅内閣は、尖閣諸島沖での中国漁船の衝突事件を撮影した海上保安庁のビデオ映像を公開する方針を固めた。早ければ30日に開かれる衆院予算委員会後の理事会で与野党が政府に公開を求めることで合意し、同委員長が政府に提出を申し入れる。それを受け、法務省は公開を決定し、国会に提出する見通しだ。 ビデオは、検察庁が証拠として保管している。刑事訴訟法は訴訟にかかわる書類などの公判前の公開を禁じているが、「公益上の必要その他の事由があって相当と認められる場合」は例外として公開を認めている。 菅直人首相は来月4、5日に訪欧し、アジア欧州会議(ASEM)で「日本の立場を説明する」としており、その前にビデオを公開することで、日本政府の対応の妥当性をアピールしたい考え。ただ、レアアース(希土類)の禁輸措置を解除するなど日本との関係修復の動きを見せ始めている中国側が、再び態度を硬化させる可能性もある。