いまから80年前の1941年12月8日、ハワイ・オアフ島に停泊する米国太平洋艦隊に日本海軍の攻撃機が奇襲を仕掛けた。太平洋戦争開戦のきっかけとなった真珠湾攻撃である。 真珠湾作戦の中心的役割を担った元参謀・源田實氏による歴史的回顧録『真珠湾作戦回顧録』(文藝春秋)より一部抜粋して、真珠湾攻撃の政治的、戦略的評価について紹介する。(全2回の2回目/前編を読む) ◆◆◆ 日本側の機械暗号が既に解読されていた 一般的に真珠湾攻撃は、戦術的には大成功であったが、政治的、戦略的にはむしろ大きな失敗であったという評価がなされている。結果から直線的な、単次元的な批判を行なうとすれば、そういうこともいえるであろう。まず政治的な評価であるが、最後通牒が攻撃後に手渡されたことは、何としても大きな失敗であった。しかもこれが、わが方の暗号翻訳に手間取ったためとあっては、何をか言わんやというところである。ともか