生命誌ではやまと言葉を大事にしているのです。「なる」は古事記※註1で多用されている言葉と教えていただいたのですが、そこでは神さまも日本列島も、誰かが「つくる」ものではなく、自ずと「生(な)る」ものとされていると指摘され、現代の「生る」を考える、具体的には生きもの研究や暮らしを考えてみようと思いました。1回目は宇宙の生まれる話をインフレーション理論の佐藤勝彦さん※註2、2回目は形が生まれる話を建築家の伊東豊雄さん※註3と語り合いました。伊東さんが出された「エマージング・グリッド」(図1)という建築の構造モデルが面白い。二つのグリッドを合わせてひねると生まれてくる空間が、生きものっぽくてとても居心地が良いのです。