クローン羊ドリーの誕生以来,注目を浴びるクローン生物。 でも,人間が作るよりもはるか昔から,自然にはたくさんのクローンがいたのです。 JT生命誌研究館は小さな所帯。ラボラトリー部門の研究も,SICP(Science Communication and Production)部門の活動も,外部の人と一緒に進めることがほとんどだ。共同研究や,共同での展示やビデオの制作以外にも,「外部研究者セミナー」と題して研究者の話を聞き,議論する場を設けている。 ここでは,2000年9月のセミナー「自然界のクローン」を紹介しよう。 クローンとは本来,「遺伝子組成が等しい細胞や生物の集団」のことであり,自然界にもクローンはたくさんいる。細菌やアメーバなど分裂で増える単細胞生物はもちろん,プラナリアやホヤのように,分裂や出芽といった無性生殖の様式をもつ生物は,みなクローンとして増えている(注1)。 演者の一人,