考古学への認知的アプローチのための一視角 【注意書き】 以下は、日本心理学会第69回大会シンポジウム「心理学と考古学の出会い――「モノ」はいかに「こころ」を語るか」(2005. 9. 12, 慶應義塾大学)にておこなった私の講演の原稿です。当日は、PC資料を用いて発表をおこないました はじめに 「心理学と考古学の出会い」という場合、一般的に想起されるのは、まず、過去の人類の心の発達を進化の観点から問う「進化考古学」、そして、痕跡として残された資料から過去の人類の「心」や「認識」にアプローチする研究、「認知考古学」と総称される研究方法であろう。しかし、既に桜井氏の話の中でもあったように、心理学と考古学とが出会う場は、そこだけには限定されない。考古学(者)が研究していることを研究する研究、いわゆる「メタ考古学」的な研究においても、考古学と心理学とが出会う可能性が眠っている。 伝統的に、(日本
考古学の資料はモノ資料であり,これは無口な資料である。無口な資料から情報をどのように抽出するかがもっとも重要である。情報を抽出するためにまずしなければならないことは前回にも簡単に触れているが,年代を決めることである。考古学では年代を「層位学」と「型式学」と呼ばれる二つの方法を組み合わせて使うことによって相対的に決めることができる。他の分野と異なりモノ資料を基礎にするので他の分野の基礎的な方法である文献学を使うことはできない。独自の方法が必要になる。その代表的なものが層位学と型式学である。 年代は考古学の調査と研究の全ての基礎になるものである。少なくとも相対年代を決めることは,考古学の基礎資料から考古学独自の方法論を使って出すことができる。これは他の学問から借用したものを考古学に適用できるように改良したもので考古学独自の方法である。相対年代だけでなく,以下に述べるいずれの年代においても年代
オスカル・モンテリウス(1913年撮影) 型式学的研究法(けいしきがくてきけんきゅうほう、英語: typological method)とは、考古学における研究法のひとつである。 考古資料とくに遺物の形態・材料・技法・装飾などの諸特徴によって分類された型式(type)を、年代的な変遷をたどり、地域的な相互比較をおこなって、その遺物(型式)の時間的ないし分布上の位置関係、さらに型式相互の関係性を明らかにしていく研究の方法であり、単に型式学(typology)ともいわれる[1]。 この方法は、19世紀後半にスウェーデンの考古学者オスカル・モンテリウス(1843年-1921年)らによって、北欧の青銅器文化の研究などをもとに提唱されたのち、急速に世界的に普及していったが、これについて、スウェーデンの考古学者ニルス・オーベリ(スウェーデン語版)は、「先史考古学は、この研究法の確立によってはじめて科学
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